世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスは、その強力な感染力から社会に大きな変化をもたらしている。ヒト同士、飛沫の接触を避け感染リスクを抑制する「新しい生活様式」を受け入れざるを得なくなったわけだが、その実現に不可欠なテクノロジー関連銘柄の株価に上昇傾向が出てきた。この動きを受け、「コロナ後の世界」への期待が高まる中で、投資信託を扱うプロたちはどんなファンドに注目したのか、5位のファンドから寄せられたコメントを見ていこう。

業界誌が聞いた「注目のファンド」トップ5

2020年5月発行の投資信託・資産運用業界誌「Ma-Do(マ・ドゥ)」誌上に掲載された7本のファンドのうち、2020年6月に同誌読者である投資信託販売会社の社員・アドバイザーに行ったアンケートで、「関心がある」との得票数が多かったファンドは以下の5本となった。

5位フィデリティ・テクノロジー厳選株式ファンド(愛称:Jテック+)

フィデリティ投信

ファンドの特徴
・テクノロジー分野で活躍する日本企業を中心に厳選投資
・設定から20年以上、国内企業にフォーカスしたファンド

「日本企業を応援したいという潜在的な意識に沿う商品」(50代・銀行) 「延期にはなったがオリンピックも控えており、ますます期待の高まる5G関連株や、人不足問題の解決策になるであろうロボット等のテーマで今後上昇していきそう」(20代・銀行)

国内のテクノロジー関連企業に着目したファンドで、コンピューター、半導体、電気機器、通信等の分野で商品・サービスをつくる企業に投資をする。テクノロジー系のテーマ型ファンドは複数存在するが、主に日本の企業を投資対象とするファンドは少ない。成長率で見れば海外先進国、特に米国株式が有利な状況にあるが、「投資を通じて日本企業を応援したい」といった顧客ニーズにマッチする特徴に着目する声が見られた。

4位サイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジなし)

三菱UFJ国際投信

ファンドの特徴
・サイバーセキュリティーの需要拡大や技術向上の恩恵が期待される銘柄に投資
・7月で設定から3年が経過。コロナ禍により注目度が増している

「働き方・生活の仕方が従来と変わってしまった現況において、サイバーセキュリティーの意味合いが以前とは段違いに大きくなっているから」(60代・銀行) 「コロナの影響で今までの勤務体系が変わり、当たり前にできていたことができなくなってしまった。そんな時だからこそ、こういうファンドに注目してほしいと感じた」(40代・銀行)

デジタル領域におけるセキュリティーといえば、ビデオ会議システムZOOMに対する指摘が記憶に新しいが、このファンドではIoT(モノのインターネット)やクラウド・コンピューティングなど、幅広い分野におけるセキュリティーに注目しているという。コロナ禍により、依然に増してサイバーセキュリティー対策の必要性が広く認知され、それに比例して本ファンドへの期待も高まった、という意見が寄せられた。