日系メーカー苦戦が逆風、海外は32万台減 電子制御も「SDV化」で先細りが懸念

デンソーの株価を押し下げている要因として、日系完成車メーカーの伸び悩みが考えられます。

デンソーは今期(27年3月期)の自動車生産見通しについて、国内は前期比13万台増と見込む一方、海外での日系車は同32万台減を予想しています。今期第1四半期の実績でも、主要顧客であるトヨタグループ向けの売り上げは堅調な一方、それ以外は円安影響を除くと微増にとどまりました。日系メーカーがシェアを失えば、その部品を供給するデンソーにも悪影響が波及すると考えられます。

【得意先別の売上収益(27年3月期 第1四半期)】

・トヨタグループ:1兆619億円(前年同期比+9.4%、為替影響除き+3.6%)
・トヨタグループ以外:6876億円(同+8.8%、+0.9%)

​出所:デンソー 決算説明資料

もう1つ考えられるのが、SDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)化です。これまではエンジンやブレーキといった機能ごとに制御用コンピュータがあり、部品メーカーが部品とセットで開発してきました。SDVでは、これらが少数の高性能コンピュータに集約されていくと考えられています。自動車部品メーカーが手掛けてきた領域に、半導体メーカーやソフトウェア企業が参入することが懸念される状況です。さらに、完成車メーカーがソフトウェアを内製化する動きもあります。

この変化がデンソーにとって重いのは、電子制御は同社の成長の中心だからです。ADAS(先進運転支援システム)などを担うモビリティエレクトロニクス事業は、26年3月期の売上収益が2兆1987億円と製品別で最大です。各期の前期比をつなぐと、直近5年間の伸びは年率約11.6%となり、全社の成長率(同約8.8%)を上回っています。

【デンソーの製品別売上収益(26年3月期)】

・モビリティエレクトロニクス:2兆1987億円(5年平均成長率11.6%)
・サーマルシステム:1兆7804億円(同9.0%)
・パワトレインシステム:1兆4797億円(同4.6%)
・エレクトリフィケーションシステム:1兆4335億円(同14.2%)
・先進デバイス:3903億円(同5.2%)
※5年平均成長率は前年比を連鎖させた参考値(22年3月期は、モビリティエレクトロニクスはモビリティシステム、先進デバイスはセンシングシステム&セミコンダクタの値を使用)

​出所:デンソー 決算説明資料

電子制御で成長してきたデンソーにとって、SDV化による業績悪化は相対的に強く生じる可能性があります。これらの懸念は投資家にも意識されやすく、株価の軟調につながっていると考えられます。