<前編のあらすじ>
年中の息子・悠真を育てるひかりは、幼稚園のママ友たちから地元中学校の評判がよくないことや、小学校受験の準備を進めていることを聞く。不安になってネットで調べるうち、少人数教育や内部進学制度のある私立小学校に魅力を感じ始めた。
ひかりは悠真を小学校受験塾の体験授業へ連れていく。工作やゲーム形式の課題を楽しみ、講師にも褒められた悠真は「また行きたい」と即答。ひかりは、息子には受験が向いているのかもしれないと期待を膨らませる。
その夜、ひかりは夫・尊に小学校受験を提案すると尊は学費の高さを理由に「受験はしなくていいよ」と反対。悠真の将来のために環境を選びたいひかりは、教育費を惜しむ夫の態度に納得できず、簡単には諦めたくないと思う。
●前編【「小学校からそんなに金をかけなくてもいいだろ」受験を望む妻 vs“現実論”をつきつける倹約家の夫】
反対されても諦められないひかり
尊に小学校受験を反対されてからも、ひかりは諦めきれずにいた。
せめて自分1人でも受験準備を始められないかと調べたが、志望候補の学校にはいずれも保護者面接があり、家庭の教育方針についても質問されるという。夫が反対したままでは、受験を進めるのは難しそうだった。
そんなある日、幼稚園へ悠真を迎えに行くと、園庭でママ友たちがまた受験の話をしていた。
「うちは、やっと志望校を2つに絞ったの。今度、もう一度見学に行くつもり」
「そうなんだ。うちも塾を続けることにしたわ。本人も楽しそうだし」
「悠真くんママのところは? この前、体験授業に行くって言ってたよね?」
「うん。悠真も楽しんでたよ。ただ、受験するかどうかはまだ相談中で……」
ひかりは曖昧に笑った。
みんな着々と準備を進めているのに、自分の家だけ何も決まっていない。このままでは悠真だけ出遅れてしまう。そんな不安が、帰宅してからも頭を離れなかった。
