離檀料200万円を30万円まで下げた方法は?
高坂さんの“しごでき感”は私の依頼への対応を見ているだけでよく分かりました。無駄のないスピーディな仕事の進め方といい、私のような行政法の素人へのかみ砕いた説明の仕方といい、高度なビジネススキルは、学生時代に起業経験があり、起業家コンテストに応募したこともあると本人の口から聞いて、なるほどと納得したのでした。
高坂さんはすぐに菩提寺と話をしてくれたようで、「こういう横紙破りみたいなことをされると、他の檀家に示しがつかない」と先方はいたくご立腹のようだったという報告がありました。
しかしながら、高坂さんは「でも、大丈夫です。突破口はありますから」と落ち着いたものでした。
実際、突破口はあったのです。
寺院が檀家からの墓じまいの要請を認めようとせず、埋蔵証明書の発行を拒んだケースで、檀家側が自治体と相談し、代替書類を自治体に提出することで墓じまいが許可された事例が過去に存在しました。離檀料をめぐるトラブルが増加している中で、厚生労働省が全国の自治体に対し、こうした対応も可能だという通知を送付しているとも聞きました。
高坂さんは、早速、この事例をちらつかせて、菩提寺に再考を迫ったようです。そして半月後、200万円は30万円に“値引き”されました。
「一緒に納骨」母の最期の願いが叶う
「『市外に出て行った方だからお受けしました。くれぐれも口外はしないようにお願いします』と念を押されました」
後に、支払いや遺骨の引き取りなどの打ち合わせをした際、高坂さんが菩提寺側からの“お願いごと”を伝えてくれました。
「まだ離檀料で儲けるつもりなんですね」と私が嫌味ったらしく言うと、「地方のお寺さんはどこも檀家さんの減少で経営が立ちいかなくなり、大変のようですよ」と菩提寺側の内情を説明してくれました。
「中沢さんの菩提寺さんは決して悪い人ではないと思います。私の別のお客さんの菩提寺は、離檀料を減らした分、出入りの石材店さんに指図してものすごい額の撤去費用を吹っかけてきました。もちろん、その通りにお支払いはさせませんでしたけど」
本当に、高坂さんのプロフェッショナルな仕事ぶりには圧倒されるばかりでした。友人に「そんな若い人で大丈夫なの?」と言った自分を心から恥じました。
一方、母は夏頃から身体機能が衰えて寝たきりとなり、意識もあるのかないのか分からないような状態が続いていました。それでも枕元で私が「墓じまい、終わったよ。お父さんの遺骨もこっちに持ってきたから」と報告した時は小さくうなずいてくれました。
そして、それから2カ月後、静かに息を引き取ったのでした。
高坂さんの尽力がなかったら、母の存命中に改葬を済ませることは絶対に不可能だったと思います。こうして両親を一緒に納骨できるのは高坂さんのおかげと感謝するとともに、今後とも、きょうだいも子どももいない私が困った時の相談相手になっていただけたらと思っています。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。
