誰にも相談できない…危機的状況で紹介されたある専門家
母がこちらの老人ホームに入居したこともお話ししたので、足下を見て理不尽な金額を提示されたのではないかという疑念を持ちました。取引の公正性や透明性が求められる時代に、そんな大昔の常識がまかり通るのはおかしいと、200万円を払おうとした母を止め、お寺さんに交渉してみようと電話をかけたのです。
しかし、電話に出た住職の娘さんには私が言いがかりをつけてきたと思われたらしく、「これまでさんざん世話になってきたくせに」と逆ギレされてしまいました。
まさに、新入社員時代によく上司から言われた「大事な話は電話でするな」の典型です。往復の交通費と時間を渋ったがゆえに、話をややこしくしてしまったのです。
とはいえ、こんなふうに感情的にこじれてしまうと、とても交渉どころではありません。
墓じまいをするに当たっては、菩提寺に埋蔵証明書(埋葬証明書)を出してもらい、お墓のある自治体に改葬許可を申請する必要があります。そもそも、菩提寺の許可が得られなければ、お墓の中の父の遺骨を勝手に持ち出すことはできません。
「私に任せて」と言った以上、母には相談できず、困り切っているところに総務部の友人が教えてくれた、「墓じまいに詳しい行政書士さん」が高坂さんでした。
高坂さんは勤務先がお世話になっている行政書士事務所の社員で、ご親戚が墓じまいで菩提寺ともめたのを機に、墓じまいで困っている人のお手伝いをするようになったのだそうです。
事務所に入って4年目の29歳と聞かされ、思わず、「そんな若い人で大丈夫なの?」と尋ねたら、「会えば分かるから!」と意味ありげな笑いを返されました。
藁にもすがる思いで高坂さんに連絡を取ったところ、スケジュールを調整して翌日に面会をセットし、事情を把握した上で、私の代わりに菩提寺との交渉役も引き受けてくれたのです。
