穏やかな一家に届いた連絡
休日の夕方、桜がキッチンで晩ご飯のカレーを煮込んでいると、リビングから楽しそうな声が聞こえてきた。
「あーもう! お父さん、ちゃんとやって!」
目を向けると、小学5年生の息子の孝弘と夫の良介が2人でテレビゲームをしていた。協力型のゲームのようだが、良介は操作に慣れていなくて孝弘に怒られていた。その光景をソファに座っている中学2年生の娘の理々杏が笑って見ていた。桜も頬を緩めて、完成したカレーをリビングのテーブルに置いた。
「ご飯できたから、ゲームは終わりよ」
桜の言葉に孝弘は返事をし、4人で晩ご飯を食べた。晩ご飯を食べたあと、子どもたちは自分たちの部屋に戻って、良介と2人だけの時間ができた。桜はビールを飲む良介の対面に座ってスマホをいじっていた。
「実は今日、母さんから連絡があったんだ」
良介はため息をつきながら話した。桜は眉間にしわを寄せた。
「何だって?」
「5万必要だから送れって言ってきたよ」
「もう何よそれ……」
桜は苛立ちを隠さず口にした。
良介の母、慶子はお金にだらしなく、何かと良介を頼ってきていた。
