債券が再び資産形成の選択肢に
個人向け国債への関心が高まっている。日銀の金融政策正常化を背景に国内金利が上昇し、個人向け国債の適用利率もここ数年で大きく上昇してきた。さらに、個人向け国債をNISAの対象に加えることも議論されており、今後、個人投資家にとって債券はこれまで以上に身近な存在になる可能性がある。
長らく続いた超低金利の時代には、個人投資家にとって債券は存在感の薄い資産だった。預金してもほとんど利息がつかず、国債を買っても十分な利回りを期待できなかったため、資産形成の話題はどうしても株式中心になりやすかった。
しかし、金利が戻れば状況は変わる。預金にも利息がつき、債券からも一定の利回りが期待できるようになる。筆者自身、最近はセミナーで「金利ある世界」について話す機会が増えているが、そこで伝えているのも、「何を買えば一番増えるか」だけでなく、お金の置き場所をどう分けるかを改めて考える時期に来ているということである。
では、「金利ある世界」に戻った今、個人投資家は債券にどのように投資すればよいのだろうか。そもそも、資産形成に債券を組み入れる必要はあるのだろうか。
債券は何のために持つのか
債券への投資を考える前に、まず整理しておきたいのが、その役割である。
株式には、企業の成長を取り込みながら長期的に資産を増やしていく「成長資産」としての性格がある。一方、債券は株式ほど高いリターンを期待する資産ではない。一定の利息を受け取りながら、大きな値動きを抑える「安定資産」としての役割が中心になる。
筆者は、債券が必要かどうかは、年齢よりも「お金の目的」で考えた方がよいと思っている。例えば、住宅購入や教育費など数年以内に使う予定のある資金や、株式市場が大きく下落した際の買い増しに備える待機資金であれば、リターンを追求するよりも安全性や流動性を優先したい。また、大きな値動きを避けながら安定的に利息を得たい資金にも、債券を活用する余地がある。同じ年齢でも保有資産や収入、今後の支出は異なる。まずは「株式には投資しないお金」がどれくらいあるのかを整理し、その資金に求める安全性や流動性から債券の必要性を考える方が実態に合っている。
