「おじさんの汚い短パン姿なんて見たくない」

堂島は続ける。

「特に、夏場にどこまでラフな格好が許されるか、っていう話をしたんだけどさ」

堂島は一度話を切り、味噌汁を飲んでから再び口を開いた。

「夏に短パンで勤務するのはありかなしか、っていう話になって。経営陣は、短パン勤務を許して、かわりにオフィスの冷房の温度を上げれば、コストダウンにもなるし、わりと賛成だったんだよ。でも、思わぬ反対があってさ」

「へえ。誰が反対したんだ?」

「若手の女性社員がこぞってかなり強硬に反対したんだよ。『おじさんの汚い短パン姿なんて見たくない』って、かなりキツい意見まで言ってさ……」

「たかが短パンで、そこまで?」

「想定外だったよ。『おじさんはすね毛の処理をしていないので不潔感がある』っていう意見が多くて。他にも『変に若作りしているのが不愉快』っていう意見も多かった」

「そんなに嫌われているのか……」

佐藤は衝撃を受けた。佐藤自身、夏の休日には好んで短パンをはいていたからだった。

「所詮は主観だろっていう意見もあったが、そこまで嫌なものを無理強いもできないだろ。経営陣も困っちゃってさ。とにかく一旦ペンディングにして、また来月のミーティングで話し合おうということになった」

「そんなに揉めているのか……」

●紛糾したワーキンググループをどうやってまとめたのでしょうか? 後編:【「相手がおじさんなら何でも批判していいのか」若手女性社員一同を沈黙させた51歳総務部長の「渾身の発言」】にて詳細をお届けします。

 

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。