会議で判明した会費問題

午後2時、望海は小学校の会議室の扉を開けた。すでに他の役員たちが長机を囲んで座っていて、望海は口々に挨拶を交わし、空いている席に腰かける。

望海は現在、莉緒の小学校でPTAの広報を担当していた。役員を務めるのは今回が初めてではない。6歳上の春樹が同じ小学校に通っていたころにも役員を引き受け、そのときも広報を担当していた。

当時は仕事を辞めて時間に余裕があり、学校の様子を知るよい機会になると思ったのがきっかけだった。行事の写真を撮ったり、先生や児童への取材内容を文章にまとめたりする作業は、思っていた以上に大変だった。それでも、完成した広報誌を春樹が嬉しそうに持ち帰る姿を見ると、引き受けてよかったと思えた。

その経験があったため、莉緒が入学してから再び役員を頼まれた際も、勝手の分かる広報なら自分にも務められるだろうと引き受けたのだった。

会議が始まってまもなく、会計担当が困った表情で口を開いた。

「今月の時点で、58世帯からPTA会費が納められていません」

その言葉に室内がざわついた。PTAへの加入は任意であるものの、莉緒の小学校では比較的PTA活動に前向きな保護者が多い地域で、例年ほとんどの家庭が加入していた。もちろん加入は任意であるので、会費を納めない家庭は例年いくつかある。ただ今年の58はさすがに数が多かった。家庭数が約500名なので10%以上の世帯が払っていないことになる。

「PTAから全家庭にお手紙を出して加入のお願いをしたのですが……」

PTA会費は行事で使用する備品や卒業生への記念品、他にもプリントの印刷代などさまざまなものに使われている。もちろん、きちんと納められていないとPTAの活動に支障が出るのだ。

「実は……」

言いにくそうに口ごもっていた会計担当が気まずそうに言葉を継ぐ。

「未払いになっている多くは外国籍のお家なんです」

とはいえ、解決策があるわけではなかった。会議室には役員たちの潜めた声が聞こえ始める。このままでは一部の家庭のせいで、エミリーの父親のような外国籍の人たちの印象まで悪くなってしまう。そう思った望海は挙手をした。

「では、私が再度おたよりを作ってみましょうか? PTA会費について理解いただけるような文書を作ってみます」