お中元を巡る最終決着

「それに贈り物って、相手を試すためにするものじゃないだろ。今年は向こうから来るか待ってたなんて、礼儀を採点してるのと同じだよ」

「私は、そんなつもりじゃ――」

「誰が先に送るかで毎年不満をためるくらいなら、もう続けなくていい。お中元も、お歳暮も、これからは両家で送り合わないことにしよう」

義母の声が、わずかに上ずった。

「ちょっと待って。お中元って、そんなどうでもいいものじゃないのよ」

「俺たちにとっては、どうでもいいものだよ」

和毅は間を置かずに続けた。

「妻の実家から先に送るべきなんて、俺たちは考えてない。母さんが今までしてきたことまで否定するつもりはないけど、それを理由に沙枝子や沙枝子の家族を非常識扱いするのはやめてくれ」

長い沈黙が落ちた。

沙枝子は、そっと肩の力を抜いた。義母への怒りが完全に消えたわけではなかったが、張りつめていたものがほどけていくのが分かった。

「……勝手にしなさい」

やがて義母は、押し殺した声で言った。

「向こうのお義母さんには、こっちから話しておくよ。母さんから連絡しなくていいから」

和毅はそれだけ告げ、電話を切った。

静かになったリビングには、エアコンの低い作動音だけが響いた。和毅はスマートフォンをテーブルに置き、沙枝子を見る。

「ごめん。母さんが、あんなふうに考えてたとは知らなかった」

「和毅が謝ることじゃないよ。でも、ガツンと言ってくれてありがとう。ちょっとすっきりした」

「うん。母さんの考えは、俺もおかしいと思ったからね」

沙枝子は小さくうなずき、スマートフォンを手に取った。

「私もお母さんに連絡するね」