実はグローバル企業、稼ぎ頭は海外 AI需要で米ガス発電に脚光
大阪ガスは総合エネルギー企業です。関西における都市ガス販売のイメージが強い同社ですが、実は最大の収益源は海外にあります。大阪ガスは3つの事業セグメントを展開しており、うち「海外エネルギー」は利益が26年3月期までの5年間で約4倍に成長しました。
一方、都市ガス事業などの「国内エネルギー」は同期間に10.5%の減益となっており、23年3月期には赤字も経験しています。国内のガス販売が減少傾向にあるなか、海外事業がカバーする構図となっています。
【セグメント情報(26年3月期)】
・国内エネルギー(セグメント利益719億円、セグメント利益率4.38%)
都市ガスの製造・供給・販売、ガス機器販売、ガス配管工事、産業ガス販売、発電・販売
・海外エネルギー(同884億円、セグメント利益率61.48%)
天然ガス等の開発・投資、エネルギー供給
・ライフ&ビジネスソリューション(同374億円、11.71%)
不動産の開発・賃貸、情報処理サービス、ファイン材料・炭素材製品の販売
※セグメント利益…営業損益+持分法投資損益
出所:大阪ガス 決算短信
海外エネルギーの柱が米国におけるシェールガスの開発です。19年に米サビン社を完全子会社化し、日本企業として初めて米国シェールガス開発会社を買収して参入しました。
買収後、米国の天然ガス(ヘンリーハブ)先物価格は、ロシア・ウクライナ紛争やイラン紛争で急騰する場面もありながら、おおむね2~4ドルで推移してきました。この間、サビン社は鉱区面積を買収当時の1000平方キロメートルから2100平方キロメートル(25年9月末)まで拡大させており、堅調な価格推移と増産の両輪で収益を積み上げています。
海外エネルギーのもう一つの柱が米国のガス発電です。26年3月末で現地に5つの発電所で権益を保有しており、持分容量は1300メガワットに達します。報道では、新たに最大5カ所のガス火力発電への参画を検討しているとも伝えられており、実現すれば拠点数は倍増する見通しです。
米国では電力需要が高まっており、米国東部における電力市場(PJM市場)の容量価格は、24年に実施された25~26年向けオークションで269.92ドルと、前年の28.92ドルから9.3倍に急騰しました。翌年の26~27年向けは329.17ドルまで上昇しており、ガス発電の収益環境は向上しています。
強い電力需要の一因がAIデータセンターの増設です。大阪ガスは、米国で天然ガスの開発から発電まで手掛けるエネルギー企業としてAIの恩恵を受けています。近年の株価上昇は、「AI銘柄」としての評価が支えになっていると考えられます。
