青年が差し出した真実

「僕は、あそこのたこ焼き屋を手伝いに来た大学生です。あ、小林と言います。祭りが終わって片づけをしていたら、この子が1人で歩いているのが見えて」

玲美は萌絵の背に手を当てたまま、青年の指先を追った。前掛けをした男の人たちが、提灯を外したり、箱を運んだりしていた。言われてみれば、小林青年も同じものを身に着けている。

「1人で?」

「はい。声をかけたら、泣きそうな顔で、落とし物をしたって言うので」

玲美の腕の中で、萌絵がびくりと肩を震えた。

「萌絵」

名前を呼ぶと、萌絵は巾着を握りしめたまま、うつむいた。

「このお兄さんが言ったことは本当なの?」

「……うん。ママのかんざし……なくしちゃったの」

玲美ははっと息を呑んだ。夕方、鏡の前で何度も嬉しそうに見ていた薄桃色のかんざし。たしかに萌絵の頭から消えている。

「いつ落としたの?」

「分からない。梨沙たちと帰ろうとしたとき、頭を触ったらなくて……みんなは帰る時間だったから、先に行ってもらったの」

「それで1人で戻ったの?」

語気が少し強くなった。萌絵は肩をすくめ、また目に涙をためる。

「だって、ママの大事なものだから。見つけなきゃと思って」

その言葉に、玲美の胸が痛んだ。