「扶養内=得」の罠…夫の税金が増えても世帯収入はプラス
夫の税金を増やさないために扶養内の収入を強いられている女性は珍しくありません。恵美さんの場合、義母からのプレッシャーですが、夫から同じような圧力を受けているケースもよくあります。
しかし、夫の税金が増えても妻の収入を増やしたほうが家計全体の収入は増えます。増えた収入以上に税金がかかることはありえないからです。では実際、どれほど税負担が増えるのでしょうか。
恵美さんの年収は100万円、茂之さんの年収は800万円、現在、茂之さんは配偶者控除を受けています。配偶者控除を受けられなくなる配偶者の給与収入は136万円ですが、配偶者控除を受けられなくなっても、配偶者特別控除を受けることができます。配偶者特別控除の控除額は段階的に減るものの配偶者の年収が207万円になるまで適用されます。
そこで、仮に恵美さんの年収を210万円に増やしたとすると、茂之さんの税負担はどれだけ増えるでしょうか。この場合、所得税と住民税は合計約7万円増えることになります。もし茂之さんの会社で、扶養手当等が支給されているのであれば、その手当もなくなると思われるため、茂之さんの手取りはさらに減ります。
恵美さんの年収が100万円から210万円に増えると、恵美さんは社会保険に加入することになります。社会保険料が約30万円だとしても、世帯年収で80万円増えます。税負担が7万円増えたとしても、差し引きで世帯には大きなプラスです。
さらに、今の手取りを増やすことができるのはもちろん、将来の年金も同時に増やすことができます。一度「扶養内」という上限を外せば、その後も少しずつ収入を伸ばせる可能性があります。家計全体を考えるのであれば、恵美さんが収入を増やしたほうが賢明と言えます。
ただ、茂之さんは嫁姑の関係に積極的に関わってくれることはありませんし、義母も数字を聞いたからといって「税金が増えるのは嫌」という感情がなくなるとは限りません。義母にとっては、息子の税金が増えること自体が好ましくなく、さらに恵美さんの労働時間が増えれば、家事や孫のサポートが手薄になるという心配もあるのでしょう。そのため、恵美さんも義母を説得しようとは考えていないようです。
●義母との関係性を崩さずに、教育費の壁を乗り越える方法はあるのでしょうか。後編【世帯年収1000万で私立中学2人は無謀? 義実家の援助中止に怯える45歳パート主婦が、「2つの武器」で挑む逆転劇】で詳説します。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。
