暑さの中の小さな工夫

夕食の準備が完了してリビングを見るとソファで芽依や陽太は、すっかりおとなしくなっていた。暑さとさっきの騒ぎのせいで疲れてしまったのだろう。

さすがにこのままではかわいそうだと思った未来は冷たい麦茶を出そうと冷蔵庫を開けた。冷気がふわっと顔に当たり、それだけで少し息がつける気がした。氷を出そうと冷凍庫を開けると奥に保冷剤がいくつか入っているのが見えた。

未来はその保冷剤を見て氷枕を作ろうと思いつき、さっそく氷枕を3つ作って芽依たちの下へと向かった。

「ほら、これ涼しいから枕にしてみて」

さっそく芽依は枕を頭の下に敷いて床に寝転んだ。すると心地よさそうに頬を緩めた。

「ほんとだ。これ、気持ちいい」

陽太にも同じように使わせてみると嬉しそうに笑みをこぼした。

確かに首元がすっと冷えるだけでとても気持ちいい。扇風機の風も先ほどより冷たく感じる。

そのまま未来たちはしばらく床で寝ていると、仕事から帰宅した健太は未来たちの姿を見て驚いていた。

「えっ⁉ どうしたの⁉ 大丈夫か⁉」

未来は顔を上げずに健太に答えた。

「大丈夫。気持ちいいから健太もやってみて。保冷剤をタオルで巻いた枕みたいにするの」

熱中症の類いではないと分かった健太は安堵したのか、笑みを浮かべた。

「まあ何とかやってるなら良かった。みんな、暑いだろうからアイスも買ってきたんだ。ご飯のあとにみんなで食べようぜ」

そう言うと芽依たちは飛び上がり、健太の持っているビニール袋に群がった。

「ありがとう! うわ、私はイチゴのやつにする!」

「僕はチョコバニラね!」

健太は芽依たちの反応に苦笑した。

「ちょっとくっつくなよ。さすがに暑いって」

注意されても離れようとしない芽依たちを見て未来は眉尻を下げた。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。