<前編のあらすじ>
梅雨の蒸し暑い休日、未来は小学2年生の娘・芽依と5歳の息子・陽太と3人で過ごしていた。子どもたちにせがまれてリビングのクーラーをつけるが、涼しい風は出ず、ネットで調べた結果、故障しているらしいことが分かる。
帰宅した健太も状況を確認し、家族のためにエアコンの買い替えを決断する。ところが、猛暑を前に注文が殺到しており、在庫はあっても設置工事は1カ月以上先になると判明する。
すでに室内は蒸し風呂のような状態で、未来は夕飯を作るだけで汗だくになる。ようやく買い替えの目途が立ったと思った矢先に突きつけられた“1カ月待ち”の現実に、未来は愕然とする。
●前編【壊れたエアコンに絶望…ようやく決めた買い替えのはずが家族を待っていた“最悪の事態”】
ノーエアコン生活
エアコンの設置が1カ月以上先になると分かった翌日、未来は陽太を連れて家電量販店にいた。
家にはサーキュレーターが1台ある。夏はリビングのエアコンをつけ、その冷気をサーキュレーターで部屋全体に回して過ごしていた。けれど肝心のエアコンが壊れている以上、サーキュレーターだけを回しても意味がない。となるとしばらくは扇風機でどうにかやり過ごすしかないということで、家電量販店に来ていたのだ。
家電量販店に入ると途端に涼しさを感じ、改めて空調の大事さを実感した。しかし今さら泣き言を言っても変わらないので頭を切り替えて夏用家電のコーナーへと向かった。
未来は値段と大きさを見ながらリビング用に大きめの扇風機と子ども部屋用に小さめのものを一つ選んだ。他にも冷感シーツやスポットクーラーといったものもあったが、1カ月耐えればクーラーがやってくるので必要最低限のもので済ませた。
他の買い物なども済ませて帰ってきたのは午後3時だった。昨日までの曇り空が嘘のように青空が広がっていて、少し歩いただけで汗が噴き出してきた。家のドアを開けるとむわっとした熱気に出迎えられ、それだけで辟易する。
すぐに買ってきた大きめの扇風機を箱から出して点けた。陽太が顔を近づけようとするので未来が止めた。
「ほら、危ないからあんまり近づけないで」
「あー」
陽太は声を震わせる遊びをした後、こちらに目を向けた。
「ねえ、おかあさん」
「何?」
「全然涼しくないね」
陽太の言葉に未来は何も言えなかった。扇風機を点けてもただ生温かい風が来るだけで涼しいと感じることはなかった。とはいえ息子に正直に言われるとダメージがある。
「……そんな言わないでよ。せっかく新しいの買ったんだからさ」
そう言って未来はがっくりと肩を落とした。
