<前編のあらすじ>

金融機関に勤め富裕層向けビジネス(PB)を担当する坂巻孝太さん(仮名)。大学時代の親友・小林さんの父親が急死し、お通夜で小林母子と再会したことをきっかけに、一周忌を終えた後、久しぶりに小林家を訪ねることになりました。

思い出の料理を囲みながら昔話に花を咲かせる中、小林母子から聞かされたのは「2000万円近くかかった」という相続税の愚痴でした。これに対し、坂巻さんはある複雑な思いを抱いてしまい……。

●前編:「うちみたいな庶民でさえこれだけ…」親友がこぼす相続税2000万円への不平不満に、40代男性がむしろ“うらやましさ”を感じるワケ

富裕層ビジネスの現場で感じる、“持てる者”の贅沢な悩み

金融機関のPB部門にいると、富裕層のお客様がいかに相続税対策に神経を尖らせているかがよく分かります。私が担当した多くの富裕層のお客様にとっては、今ある資産を守ることは増やすこと以上に重要であり、最高税率55%の相続税をいかに抑えて次世代に財産を渡すかがカギを握ります。

近年はタワーマンションの評価方法の見直しなど当局による富裕層の相続税対策を封じる動きが目立ちますが、一方で、時価の上昇や株高によっていきなり課税対象になってしまう家庭も少なくないようです。先日、久しぶりに大学時代の友人の小林の家を訪れた際にも、小林とそのお母さんから、亡くなったお父さんの相続税が2000万円近くかかったという不平不満を聞かされました。

ただ、仕事を離れた私の個人的な意見としては、それはやはり“持てる者”ならではの悩みであって、相続税を払ってでも欲しい財産があるのは正直うらやましいと思います。

なぜなら、私自身が“要らない相続”の問題を抱えているからです。