高収入でも老後が苦しくなる理由

山本さんのように、現役時代に高収入を得てきた人でも、老後に経済的不安を抱えるケースは少なくありません。

経営面での問題としては、「この業界は昔からこうだから」という理由で法令を無視し、時間外手当を支払ってこなかったことが挙げられます。

そして、自立できない娘が依存状態となり、高齢の父親に生活まで頼ってしまっていること。援助をすること自体は悪くありませんが、それが依存状態に発展してしまうと、本人の老後を直撃します。娘に会社を任せたところで、経営者としての資質のない人に社員がついてくるはずもありません。

さらに、家計管理をしていないことも大きな問題です。高収入の時代に身についた生活水準を下げられず、本人にその意識がなくても支出が膨らんでいることがあります。現役時代の収入が高いほど、年金とのギャップは大きくなりがちで、老後破産に陥るケースも多いものです。

稼げることは素晴らしい能力の一つですが、それにかまけて、経営面でもプライベートでもやるべきことを怠ってきた。それが今回の状況を招いたと言えます。

収入の多さより、「守れる仕組み」を

今回の事例は、経営も家計も管理が重要であることを示しています。

売上や収入が増えると、ついサイフの紐が緩くなり、優先度の低い支出が増え、足元を固めることを忘れてしまいがちです。大事なのは収入の多さではなく、「守れる仕組み」をつくることです。経営も家計も同じです。

そして、稼ぐ力だけでなく、自分で自分の人生を舵取りできる考え方を子どもや孫に伝えられる人こそが、本当の意味で幸せな人生を手に入れられるのではないでしょうか。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。