足元を固めてこなかったツケ
田中さんは入社から2年が経過しても営業成績は振るわず、最低給与のままの状態が続いていました。山本さんはそんな彼女に対し、早朝出勤や夜間の再指導を求めていました。
顧客対応を終えた後にも会社へ戻らせ、ミーティングと称して持論を語るなど、長時間労働は常態化。さらに朝礼では「君の分も会社が負担しているんだ」と、他の社員の前で叱責することもあったといいます。
そして逃れようがない問題となったのは、労働時間の管理が行われていなかったことでした。保険営業のような歩合給中心の仕事であっても、雇用契約である以上、労働基準法が適用されます。週40時間を超える労働や時間外・深夜・休日労働には割増賃金の支払い義務が発生しますが、支払われていたのは最低保証の賃金分のみで、時間外賃金の支払いは一切なかったのです。
「売上も上げていない社員に、なぜ残業代を払う必要があるんだ」
山本さんは憤りますが、弁護士に相談した結果、法的には支払い義務があると指摘され、金額を交渉し、示談による解決を目指すしかないという状況になりました。
●山本さんにはさらなる悩みが重なります。後編【出戻りシングルマザーの娘に会社を継がせようとしただけではない…「自分は稼いできたから大丈夫」高収入社長が苦しい老後を迎える理由】で詳しくご紹介します。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。