好転は27年? 償却費は減少へ 大型投資は報われるか

これまでSUMCOの厳しい状況を解説してきました。では中長期的な見通しはどうでしょうか。実は、SUMCOは来期(27年12月期)以降は回復することが見込まれています。

来期以降の回復が期待される理由は減価償却費のピークアウトです。足元で苦戦の主因となっている減価償却費ですが、計上額は今期がピークで、以降は減少する予想となっています。SUMCOの減価償却の方式は建物・構築物を除き5年定率であり、減価償却費は原則として毎年4割ずつ減少していく計算です。設備投資は23年12月期に先んじてピークアウトしており、今後は減価償却費が減少していくことが予想されます。

また、先述のとおりAI向け半導体デバイスは27年以降に本格的な増産が始まると見込まれています。SUMCOが強みとする先端ロジック向けの需要も伸びると考えられ、採算は改善に向かいやすいでしょう。

さらに、先端品はメモリ向けの拡販も期待されます。SUMCOは従来、メモリは韓国サムスンと近い関係にありましたが、近年はHBM(広帯域メモリ)関連で同じく韓国のSKハイニックス向けの出荷も増加しています。24年には、SKハイニックスからベストパートナー賞を初めて受賞しました。HBMはAIサーバー向けに需要が増加しており、SUMCOにも収益機会となっています。

メモリ向けはAIで期待される市場の1つです。米オープンAIは25年10月、サムスンとSKハイニックスとの提携を発表し、月間90万枚の生産を目指すと発表しました。これは世界のHBM生産量の約2倍に相当するといわれています。また、グーグルやマイクロソフトといったメガテックも、米マイクロンにメモリ発注を増やしたと伝わっています(出所:ジェトロ)。

SUMCOの大型投資は市場に先行した部分がありましたが、現在はAI要因から市場側も追いつきつつあります。今期まで収益悪化は避けづらい状況ですが、将来的には生産能力と需要がバランスすることが期待されます。

SUMCOは、長年同社を率いてきた橋本眞幸(はしもと・まゆき)氏が3月に相談役へ就くことを明かしました。新しい経営体制の下で収益を回復できるのか、市場の期待が寄せられています。