三井住友建設は復活できるか? 懸案の高層物件は竣工 増資と訴訟リスクに注意

話題を三井住友建設に戻しましょう。同社は土木に強みがある建設会社で、PC(プレストレストコンクリート)橋梁は国内トップクラスです。また海外も東南アジアや南アジアを中心にインフラ事業やODA(政府開発援助)事業などで多くの実績があります。インフロニア・ホールディングスは「総合インフラサービス企業」への昇華を目指しており、その推進を目的に三井住友建設を完全子会社化しました。

当面の課題は利益です。三井住友建設は高い技術力を持ちながら、近年は業績が低迷しています。国内大型建築工事において損失が頻発し、23年3月期まで2期連続の営業損失を計上しました。翌期から黒字化したものの、利益は低水準にとどまっており、収益の底上げが急務です。

三井住友建設の営業利益(2016年3月期~2025年3月期)
 
出所:三井住友建設 決算短信より著者作成
 

今後は三井住友建設の再生がテーマになるでしょう。三井住友建設は損失を計上していたとみられる虎ノ門の施工物件が今期(26年3月期)に竣工し、収益力は通常ベースへ回帰すると期待されます。同時に受注規律を強化し、工事採算性の改善にも取り組みます。

中長期的にはインフロニア・ホールディングスとのシナジーにも注目です。前田建設工業と三井住友建設の一体運営によるスケールメリットでコストを圧縮するほか、両者の技術を生かし超高層案件でのシェア獲得を目指します。コストにおいては、短期的には本社部門で金融費用の減少が想定されるほか、上場関連費用の削減などを見込みます。

なお、三井住友建設の買収は別の視点で注意点が2つあります。資金調達と横浜市マンションの係争です。

1点目の資金調達は増資の可能性です。当座の買収費用は短期の借り入れで対応する方針ですが、今後は別の方法へ切り替えるとしています。増資なら株価は下落しやすく、注意が必要です。

2点目の横浜市のマンションについては三井住友建設が施工したものの、下請けの杭打ち業者で不正があったことが発覚し、全棟が建て替えとなりました。マンションの発注者は建て替え費用506億円の賠償を求め、17年から三井住友建設ら3社に訴訟を起こしています。25年には112億円を支払う和解案が示されたものの、マンション発注者は異議を申し立て、現在も係争中です。裁判の見通しは不透明ですが、賠償額が大きくなればインフロニア・ホールディングスにも影響が及ぶことが懸念されます。