ケミカルズ復活へ改革着手、祖業も見直し 1200人リストラも断行

まずは概要を俯瞰しましょう。三菱ケミカルグループの構造改革は多岐にわたりますが、概観すると次のようになります。

【三菱ケミカルグループの主な経営方針(~30年3月期)】

・ケミカルズへの回帰。スペシャリティは成長、MMAおよびベーシックは採算改善
・ケミカルズのノンコア事業からは撤退(売上で4000億円規模)
・3原則(価格政策、投資効果、資産最適化)でコア営業利益1400億円改善
・目標コア営業利益4600億円(25年3月期実績:2288億円)
・目標コア営業利益率10.2%(同5.8%)
※コア営業利益…営業利益から非経常的な要因による損益を除いて算出
※MMA…メタクリル酸メチル。樹脂原料

出所:三菱ケミカルグループ 中期経営計画

三菱ケミカルグループは、これまで利益の多くをファーマ(旧・田辺三菱製薬)と産業ガス(日本酸素ホールディングス)が稼いできました(※)。中核のケミカルズは赤字の領域もあり、利益の貢献が乏しい状況です。これを見直し、ケミカルズを全社で最大の収益源へと成長させる方針です。

※旧・田辺三菱製薬(現・田辺ファーマ)は26年3月期に全株式を売却

【ケミカルズ事業の概要(25年3月期)】

ケミカルズ事業の概要(25年3月期)
 

※スペシャリティ…スペシャリティマテリアルズ、MMA…MMA&デリバティブズ、ベーシック…ベーシックマテリアルズ&ポリマーズ
※コア営業利益はファーマ事業の非継続事業への組み換え後

出所:三菱ケミカルグループ 決算説明会資料および事業説明会資料
 

ケミカルズへの回帰は事業の見直しを中心に進めます。競争優位性や成長性などで事業を点検し、基準に満たないものは整理する方針です。24年3月期までの3年間は売り上げで2000億円規模の事業から撤退しました。これを継続し、30年3月期までの6年間は同4000億円規模で実施する計画です。

見直しのスピードは早く、すでに今期(26年3月期)の上期までで3600億円を決定しました。ここには祖業の一つであるコークス事業も含まれており、関西熱化学の売却や香川工場の生産能力削減などを判断しています。

見直しは人材にも及んでいます。三菱ケミカルグループは25年9月、製造部門を除く50歳以上の社員を対象に希望退職者を募集しました。募集には1200人以上が応募し、労務費は年160億円の削減につながる見通しです。

これらの構造改革は費用が生じるため、一般的な会計原則上の利益は圧迫されています。この影響を除いたコア営業利益は足元で反発していますが、本格的な回復には至っていません。構造改革の効果の発現は途上といえるでしょう。

三菱ケミカルの業績(2016年3月期~2025年3月期)
 
出所:三菱ケミカルグループ 決算短信より著者作成