注力の建設外事業は期待外れ 下水道は専門チーム新設で強化

次に成長戦略を押さえましょう。安藤・間は31年3月期の経常利益目標400億円を掲げており、その達成に向け10年間で1000億円以上の成長投資を推進しています。投資先は主に建設外事業で、経常利益を連結比で25%にまで成長させる方針です(23年3月期実績:6.1%)。

【建設外事業への成長投資額(21年3月期~31年3月期)】

安藤・間の建設外事業への成長投資額(21年3月期~31年3月期)を表した図表
 
出所:安藤・間 中期経営計画
 

ただし、建設外事業は立ち上がりが遅れています。成長投資は計画を下振れており、23年3月期までの3年間は計画250億円に対し実績が191億円となり、目標に未達となりました。また今期(26年3月期)までの3年間も、計画400億円に対し、前期末時点の投資額は128.8億円にとどまっています。

利益も伸びていないようです。安藤・間は建設外事業について当初に想定した成果を得られていないと認識しています。利益の開示も、23年3月期を最後にやめています。

一方で、成長が期待されるのが下水道向けの工事です。下水道は全国的に老朽化が進んでおり、33年度末では全体の20%が、43年度末では同42%が標準耐用年数50年を経過する見通しです(出所:国土交通省)。今後は設備の更新需要が継続的に生じることが予想されます。

安藤・間は上下水道工事の実績が豊富で、都内最大級の地下トンネル「第二溜池幹線」および「勝どき幹線」も同社の施工です。技術開発にも注力しており、25年9月には劣化しづらい下水道用コンクリート材の製造技術を確立します。

下水道への取り組みはさらに加速する見通しです。安藤・間は25年10月、下水道インフラ専門のチームを設置しました。チームは保有技術の展開や新技術の開発に取り組む方針です。新設した専門部署のもと技術を発展させ、需要の獲得につなげます。