「黒部ダム」手掛けた土木の名門 株主還元は利益の7割以上が目標
まずは概要を押さえましょう。
安藤・間はゼネコンの準大手です。黒部ダムなどを手掛けた土木主体の間組と、東京ビッグサイトなどを手掛けた建築主体の安藤建設が13年に合併して誕生しました。土木はダムを中心に業界トップクラスの実績を持ちます。また建築も幅広い分野で手掛けており、大阪・関西万博ではサウジアラビア館の施工を請け負いました。
【セグメント売上高(25年3月期)】
・土木事業:1328億円(営業利益:151.7億円)
・建築事業:2613億円(同269.0億円)
・グループ事業:238億円(同10.6億円)
※グループ事業…子会社による建設および建設用資材の販売およびリース
出所:安藤・間 決算短信
業績は反発局面です。営業利益は24年3月期まで3年連続で減少しました。しかし、翌25年3月期は前期比89.6%増の大幅な増益で着地します。建築を中心に手持ち工事の採算性が向上し、営業利益は7年ぶりに300億円台に復帰しました。建設業界は資材価格や人件費の上昇で収益が圧迫される傾向にありましたが、価格転嫁が進んでいる様子がうかがえます。
続いて株主還元について見てみましょう。安藤・間は21年3月期から総還元性向を50%以上、22年3月期からの2年間は同100%以上に引き上げ、大型の株主還元を実施してきました。今期(26年3月期)までの3年間は同70%以上が目標で、配当金を中心に利益の多くを株主へ振り向けています。株主への還元姿勢は積極的といえるでしょう。

