プライベートアセットに投資するうえで知っておきたいメリット・デメリット

では、プライベートアセットへの投資は、どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。

まずメリットとしては、相対的に高いリターンが期待できることです。その理由は、デメリットの裏返しになりますが、流動性プレミアムが期待できるからです。

流動性プレミアムとは、流動性が低い代わりに得られる超過リターンのことです。プライベートアセットは、公開されたマーケットに上場され、売買されるものではないため、今日、注文を出して即、売買注文が成立するものではありません。それこそ売買が成立するまでに、注文を出してから数カ月から数年の期間を必要とするケースもあります。こうした不便さがあるため、パブリックアセットに比べて高いリターンが期待できるのです。

また、パブリック資産のように日々、時々刻々と値付けされることもありません。一般的には四半期に1度の頻度で、その資産の実態価値に基づいて時価が計算・算出されます。そのため、たとえば4月に価格が計算された後は、7月にならないと新しい価格が算出されません。

しかし、一方でデメリットもあります。前述したように、流動性に難があるケースがあります。これは種類にもよるのですが、長いものになると3~10年程度は解約できず、比較的解約が容易なものでも、たとえば「四半期に1度の頻度で、純資産の5~10%までしか解約できない」といった制限が課せられます。あくまでも長期の資産運用にしか適していません。

次に、価格の計算・算出が、たとえば四半期に1度という点も、見方によってはかなりのリスクになります。たとえば、1月に計算された価格が1万円で、次の4月に計算される間に価格が大暴落するような事象が生じた場合、4月には1000円になってしまうなどというケースも、十分に想定されます。確かに、日々のボラティリティは気がかりですが、それ以上に日々の値動きが分かることにより、柔軟な投資戦略の見直しなども可能になります。