ベンチャーキャピタルファンドが果たしている役割

こうした環境の中で、ベンチャーキャピタル(VC)ファンドがどのように投資を行っているのかを知ることは重要です。VCとは、急成長が期待されるスタートアップ企業の未公開株に出資し、企業の成長に伴う株価上昇によってリターンを得る投資会社のことです。

VCファンドは、単に有望そうな企業に資金を出しているわけではありません。

実際には、次のようなプロセスを経ています。

•    多数のスタートアップを対象とした継続的なスクリーニング
•    複数の専門家による投資委員会での意思決定
•    技術、法務、財務などを含むデューデリジェンス(適正評価手続き)
•    失敗を前提とした分散ポートフォリオの構築
•    成長が見込める企業への追加投資(フォローオン)

これらを通じて、1社ごとの成否ではなく、全体としてのリターンを設計しているのがVCファンドの特徴です。

未公開株投資で最も重要な「価格」の問題

未公開株投資において、特に重要なのがバリュエーション、すなわち「投資価格」です。上場株であれば市場価格がありますが、未公開株には明確な基準がありません。そのため、事業計画や成長シナリオ、類似企業との比較などを踏まえた慎重な検討が不可欠です。

VCファンドでは、プロ同士の議論や交渉を通じて価格が形成されます。一方、個人投資家が同じ水準の情報と分析にアクセスするのは容易ではありません。どれだけ魅力的な事業であっても、投資価格を誤れば、期待されるリターンは大きく損なわれてしまいます。