米国株への資金流入は「トランプ関税」ショックでいったん減少へ

――この2年間を個別のトピックで振り返ると、24年は「インド株」への注目度が高かったですね。それに対して25年は、3月から4月にかけてのトランプ関税による株式の大幅下落、年中盤以降の日本株高騰などが印象的でした。

たしかに24年前半はインド株ブームでした。1枚目のグラフ(インデックス型の外国株式投信の資金流出入)の「その他」はほとんどインド株だと見てください。アクティブだけでなくインデックス型でもインド株が売れました。ただ、24年6月にあったインドの総選挙で与党が議席を大幅に減らし、材料出尽くしとなり、インド株市場が下落に転じたあたりから、ブームが収束してしまいました。

過去のインド株投信ブームを見ても、売買はトレンドフォロー的なところが多分にありました。つまり、資金流入のピークが相場のピークになることが多かったです。

それでいうと、米国株投信も似たような資金の動きをしています。25年3月末からのトランプ関税に振り回されて、そのあたりからインデックス型の米国株投信への資金流入が細っていきました。アクティブ型でも先ほど毎月分配型で触れましたが、その傾向は顕著でした。一部では高値警戒感の中で利益確定の解約、もしくは追加投資は控えられたと考えられます。

――日本株投信はどうでしたか。

日本株は、厳密には25年4月中旬からほぼ右肩上がりでしたが、7月あたりまでは(年初の水準への)戻り相場という感じで、本格的な上昇は8月の決算発表や9月に石破前首相が退陣したあたりからですね。

国内株式投信ではインデックス型を中心に逆張り投資が多いので、5月から10月にかけて国内株投信はインデックス型を中心に売却基調が続きました。ただ、資金流出が徐々に細り、多くの人にとって想定外の上昇だったことがうかがえます。また、株価は高値圏でも少し下落したタイミングでインデックス型に押し目買いを入れている様子もみられました。

インデックス型の国内株式投信については、あくまでもタイミング投資している人が非常に多いことには変わりありませんが、実はNISA口座からの買付が徐々に増えている可能性もあるかもしれません。

日本証券業協会が毎月公表しているNISAの買い付け状況をみると、つみたて投資枠の投信上位10本のうち、種別はインデックス型が10本である点は24年から同じです。一方で投資先地域は25年8月から1銘柄が国内となっており、直近11月まで続いています。当然、外国物が売れなくなっているから、相対的に国内物が上位に入っているだけかもしれません。それでも以前よりインデックス型の国内株式投信の積立投資が増えている可能性もありそうなので、私は投信の売買動向と合わせて注目して毎月見ています。

2026年には日本株への資金流入が本格化する可能性も

――それらを踏まえて、新NISAの3年目となる26年の注目ポイントはどうでしょう。

まず、年初に一括が増えるかどうか。そして購入されるのは25年と同様に米国株かどうかです。24年、25年と年初一括派が増えた様子ですが、その後、トランプ関税ショックがあったりしました。26年は、NISA口座をどのように活用する人が多いかに注目しています。

2つめは、さきほども触れた日本株への資金流入。これが一過性のトレンドフォロー的な動きなのか、それとも本格的な日本株回帰の動きとなるのか、このあたりに注目しています。

――日本株の場合、インデックスよりもアクティブに妙味があるのでは、といった意見もあります。前山さんは、そのあたりをどうご覧になっていますか?

日本株のアクティブファンドは、金融庁の調査資料にも出ていますが、欧州や米国に比べて、ベンチマークに勝っている投信の割合が高くなっています。主に中小型株に投資している国内株式投信は過去にかなりの高パフォーマンスを上げているものも実際にあります。

日本の中小型株は情報が日本語に偏っており非対称になっている場合が多く、さらには国内の運用会社が得意にしている市場です。必ずしもアクティブ型に投資する必要はありませんが、そのような事実があることを多くの個人投資家に認識してほしいですね。