2024年1月からスタートした新NISA。“神改正”ともいわれたほど制度の利便性が大きく向上し、個人投資家に普及、定着している。そこで、この約2年間でどんな投資信託に個人の資金が流入したのか、それを踏まえて、2026年はどんな動きに当目すべきか、ニッセイ基礎研究所・主任研究員でファンドウォッチャーである前山裕亮氏に聞いた。
個別銘柄は「オルカン」だが、資産カテゴリーでは米国株
――24年から最近までの約2年間、個別銘柄ではオルカンの愛称でおなじみの『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』が非常に人気で、前山さんが毎月出しているレポートの推計純流入ランキング※を見ても、ほとんどの月で1位でした。ただ、カテゴリー別などでみると、どうでしょうか。
投資先地域では、米国株インデックスが最も買われています。例えば、王道の『eMAXIS Slim』シリーズのS&P500や『楽天インデックス・シリーズ』の米国株ファンド、さらにはフェイスブックやアマゾンなど主要ハイテク10社に投資する『FANG+』や『NASDAQ100』といった指数のインデックスファンドも売れました。
あくまでも私がチェックしているのは、NISA対象商品でも一般販売を含む買付です。それでも他のデータなども参照すると、ここ2年間で国内の個人投資家の資金がNISA経由で最も多く流入したのは米国株インデックスだと見ています。
※ニッセイ基礎研究所のサイト上で掲載。
●インデックス型の外国株式投信の資金流出入
――トータルでは、オルカンを含むグローバル株よりも米国株がより選好されたということですね。
そういうことになります。また、もう一つ特徴的なことがあります。25年は1月に大規模な買付が入りました。24年1月についても、年初に比較的、成長投資枠から買われています。
実は昨年、とあるマーケット番組で「年初一括投資と毎月積立投資、どちらのパフォーマンスがよいのか」というテーマで話をしていて、その番組の動画がかなり閲覧されたようです。NISA口座、特に成長投資枠をどのように使うかというのは、多くの人の関心が高いテーマであることがうかがえますよね。
それはさておき、24年は年初一括で投資した方が高収益を得られたので、その成功体験から、25年はより年初一括投資する人が多かったのかもしれません。
●証券10社のNISA口座からの買付額の推移
――たしかに、証券10社のNISA口座からの買付額を見ても、25年1月は成長投資枠での投信の買付額が突出していますね。つみたて投資枠も、ほかの月よりも1000億円程度多くなっていますが。
つみたて投資枠でも、年初にボーナス買付を使って多めに買付けた方が多かったかもしれませんね。いずれにしても、さきほどの地域別の話を合わせると、25年は年初に米国株を買った人がすごく多かった、ということになります。
その一方で新NISAが始まっても変わらなかったことがあります。それは毎月分配型の人気です。新NISAになって完全に毎月分配型をNISA口座から購入することができなくなりましたが、それでも毎月分配型の外国株式投信へは資金流入が続いています。
24年から25年3月までは米株の毎月分配型が、それ以降はその他、主にグローバル株の毎月分配型が売れています。
●アクティブ型の外国株式投信の資金流出入の推移



