成長投資2700億円を完了 「うなぎ昇り」の成長は発現するか
横浜ゴムの株価パフォーマンスが同業と比較して高いのは、市場が今後の成長を先取りしているためかもしれません。同社は27年以降に「うなぎ昇り」の成長を発現させる計画です。26年まではその仕込みの時期と位置づけ、主に乗用車向けタイヤとオフハイウェイタイヤの双方で成長戦略を実行します。
乗用車向けタイヤでは、競争優位性のある高価格帯の製品へ注力します。「アドバン」や「ジオランダー」、「ウィンタータイヤ」といったプレミアムブランドの増販に取り組み、高付加価値品の販売比率を50%まで引き上げます(24年実績:43%)。同時にコスト競争力も高める方針で、1年で工場を立ち上げる「1年工場」にも着手します。24年には、メキシコと中国でそれぞれ4月と12月に着工を開始しました。
オフハイウェイタイヤは、シェア1位の農業・林業用機械は市場地位の強化で、シェア2位の産業・港湾用はサービスの拡大で成長を目指します。手薄となっていた鉱山用・建設用はM&Aでカバーする方針を打ち出し、先述のとおり米グッドイヤーから同事業を譲り受けました。これにより、横浜ゴムはオフハイウェイタイヤ市場で3位のシェアを確保します。
これらの実現に向けて当初設定した戦略投資枠2200億円は、為替影響もあり2700億円まで拡大したものの、24年までにすべて完了しました。当面は基調的な成長が続く予想ですが、効果の発現を見込む27年以降は成長が加速する見通しです。
【主な財務目標(~26年12月期)】
・売上収益:1兆2500億円(24年12月期実績:1兆947億円)
・事業利益:1500億円(同1344億円)
・ROE:10%超(同9.2%)
※ROE…自己資本利益率
※財務目標は24年8月に上方修正
出所:横浜ゴム 中期経営計画および決算短信