長期ポートフォリオの安定性を高めるプライベート資産

木村:プライベート資産は、RIAが顧客のポートフォリオを構築するうえで、どんな役割を果たしますか?

エミル:資産間の分散効果、安定的なインカムの創出、インフレへの耐性などにより、長期にわたってポートフォリオに安定性をもたらしています。

RIAは受託者責任を基に、戦略、運用者、流動性、顧客の目的との整合性を徹底的に検証します。

ジェイク:プライベート・クレジットや不動産はインカムの獲得やインフレヘッジに寄与する重要なドライバーです。伝統的な株式・債券と比べて情報も乏しく、従来は資産の管理も困難でしたが、昨今ではテクノロジーの進歩によって容易になっています。そのため、RIAは伝統資産とオルタナティブ資産を有機的に組み合わせ、より持続的な運用を実現できるようになっています。

木村:実際にRIAはどのようにプライベート投資案件を発掘し、評価しているのでしょうか?

ジェイク:RIAはファンド側からの提案だけでなく、業界関係者が集うイベントなどに参加し、直接情報を収集します。また、プラットフォーム企業を通じてオンライン上で詳細資料や第三者評価を比較検討することも一般的です。

エミル:有望な案件を絞り込んだ後は、運用者との面談を行い、戦略・リスク管理・報酬体系を入念に検証します。このプロセスはチームで行い、複数の専門家の視点を取り入れることで見落としを防ぎます。

木村:具体的なポートフォリオ組み入れの例を教えてください。

エミル:たとえば50代半ばの投資家が、退職口座と課税口座を保有しており、リスクを抑えつつ長期収益を目指すケースを考えましょう。プライベート資産を全体の15〜20%程度組み入れることで、非公開市場のリターンを享受しつつ、ポートフォリオ全体の流動性も確保できます。

ジェイク:内訳としては、プライベート・クレジットで安定収益を確保し、不動産・実物資産でインフレヘッジを行い、プライベート・エクイティで成長を取りにいく構成です。さらに税効率も考慮し、退職口座と課税口座で資産を適切に配分します。