健康でも余暇でもない 5年前から最も増えた「充実させたいこと」

この傾向に変化はあるのだろうか。過去5年間の推移を振り返ってみよう。 

今後の生活の力点(参考表) 

(注)令和3年9月調査では、「あなたは、今後の生活において、特にどのような面に力を入れたいと思いますか。」と聞いている。
出所:「国民生活に関する世論調査(速報)」(内閣府)よりFinasee編集部作成(その他、無回答除く)

今後の生活で充実させたいことについて、2021年から2025年までの5年間で何か変化はあったのだろうか。

5年間で最も大きく増加したのは「食生活」(36.1%から41.8%、5.7ポイント増)。次いで「健康」(69.5%から72.3%、2.8ポイント増)、「所得・収入」(30.8⇒33.0%、2.2ポイント増)、「資産・貯蓄」(37.9%から39.5%、1.6ポイント増)と続く。

対照的に5年間で減少したのは「レジャー・余暇生活」(33.0%から30.8%、2.2ポイント減)、「自己啓発・能力向上」(18.0%から15.8%、2.2ポイント減)だった。このように今後の人生で充実させたいこととして、上位には健康関連(「健康」「食生活」)やお金関連(「所得・収入」「資産・貯蓄」)が並び、その傾向は強まるばかりだ。

健康関連は年齢や性別に関わらず誰にでも関係がある普遍的なテーマだが、高齢化によって、より関心が高まっているのではないか。昔に比べて食事やサプリメントなども発達し、健康寿命は延びている。老後も仕事や趣味などにアクティブに活動する人も少なくない。考えてみれば日本の首相も60歳以上だ。体がある程度動いて、経験値もあれば、鬼に金棒ではないだろうか。

お金関連は物価上昇によって関心度が高まったテーマかもしれない。しかし、もともと日本はデフレ脱却を目指していた。日銀は「物価安定の目標」として消費者物価の前年比上昇率2%を掲げている。

まさに2022年以降は消費者物価指数(総合指数)の値だけみれば目標を達成しているのだ。もちろん賃上げは始まったばかりで、賃金と物価の好循環はこれからだろう。

●今と将来、どちらを大切にしている人が多いのだろうか。後編「あなたはアリ派? それともキリギリス派?「将来に備える」「今を楽しむ」究極の選択肢、2700人の答えは」にて詳しく解説する。

<調査概要> 調査名/「国民生活に関する世論調査」(速報) 調査主体/内閣府 調査時期/令和7年8月7日~9月14日 調査対象/全国18 歳以上の日本国籍を有する5000 人(回収数2729 人)調査方式/郵送法