各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、三井住友銀行のデータをもとに解説。
三井住友銀行の投信売れ筋ランキングの2025年10月のトップは前月と同じ「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」だった。6月以来、5カ月連続でトップをキープしている。第2位は前月第3位だった「三井住友・225オープン」が浮上し、第2位だった「SMBC円資産ファンド」は第3位に後退した。第4位には前月第7位だった「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」がジャンプアップした。そして、トップ10圏外から「ライフ・ジャーニー(かしこく育てるコース)」が第10位にランクインした。
ランクアップした「225」「ゴールド」
三井住友銀行の売れ筋ランキングでランクアップしたファンドは、パフォーマンスに優れたファンドばかりではない。「三井住友・225オープン」や「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」は、そのパフォーマンスが人気を押し上げた要因になっていると考えられるが、「ライフ・ジャーニー(かしこく育てるコース)」はファンドのコンセプトをしっかり実現しているために根強い人気があるようにみえる。
「三井住友・225オープン」は今年2月には売れ筋トップだった。3月、4月に第2位に落ちて、5月に第5位まで後退したものの、その後、じわじわと順位を上げてついにトップに返り咲いた。同ファンドの基準価額の推移を追いかけていると、2月以降の人気後退局面であっても、あきらめることなく継続して投資してきた投資家が9月、10月の急速な株価上昇によって収益を獲得することに成功している。特に4月以降の上昇率は他の株式インデックスファンドを上回る強烈な上昇を記録している。
一方、「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」は、株式ファンドを寄せつけない高いパフォーマンスを誇っている。10月末時点で過去1年間のリターンが43.10%に達している。これは、国内株インデックスファンド「三井住友・225オープン」の36.05%を上回り、全世界株インデックスファンド「三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド」の20.74%、米国株インデックスファンド「SMBC・DCインデックスファンド(S&P500)」の18.80%などを大きく引き離している。「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」は2024年11月にトップ10にランクインして以来、第7位、第8位などトップ10の下位にずっとランクインし続けていたが、今回初めてトップ10上位に入った。
この順位上昇は9月以降の急速な純金(ゴールド)価格の上昇に伴う基準価額の上昇率アップが要因と考えられる。ゴールド価格は10月20日に史上最高値を更新して以来、価格が下落に転じ、10月28日まで6営業日でマイナス8.6%の急落を経験した。その後、価格は上昇に転じ11月12日には再び史上最高値をうかがう水準にまで戻った。高値波乱はあったものの、下げそうで下げないゴールド価格を手掛かりに、引き続き人気を高めそうな動きになっている。
一方、ランキングトップを維持し続けている「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」は、毎月1万口あたり150円の分配金を継続していることによって人気を保っているように見える。分配金込みの基準価額は7月以降横ばいに近い動きとなっており、「三井住友・225オープン」などの株式インデックスファンドとのパフォーマンス格差は開く傾向にある。ファンドの人気は最終的にパフォーマンスが裏付けとなってきただけに、現在の人気がこのまま持続するのか注目される。


