老後の生活を支える有力な手段の一つである確定拠出年金(DC)には、個人が加入するiDeCo(イデコ)と企業の従業員が加入する企業型の2つの制度があります。9月16日は2016年に個人型DCの愛称が「iDeCo」に決まった記念日です。両制度の活用と資産運用の必要性を考えるきっかけとして、FinaseeではNPO法人確定拠出年金教育協会の協力のもと、「iDeCo・企業型DCショートエッセイ」コンクールを開催しました。全国の皆さまからご応募いただいた「iDeCo」「企業型DC」に関するご自身の気持ちをつづった力作から、栄えある優秀賞に輝いたニックネームNAOさんの体験談をお届けします。
息子に願う「幸せな老後」
就職して4年目の息子。
会社では失敗して落ち込んで、成果を上げて喜んで、そんな日々を一生懸命頑張っているみたい。
幼稚園のころは、送っていくと毎日泣いて私から離れなかった息子は、もう立派な社会人になりました。
頑張って自分の足で人生を歩んでいる息子には今日も、明日も、10年後も、50年後も、幸せな人生を過ごしてほしい。
でも息子が年金を受け取るころには、少子高齢化も進んで、年金は今よりもっと少なくなっているかもしれないし、物価ももっと高くなっているかもしれません。
息子の老後を私は見ることはできないかもしれないけれど、息子には年をとってもお金の心配のない幸せな人生を過ごしてほしい。
企業型確定拠出年金(DC)やiDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)、NISA(少額投資非課税制度、ニーサ)など今の時代はいろいろな老後に備える制度もあるから、きちんと理解して活用してくれているといいなと思っていた矢先。帰省した息子の口から「確定拠出年金って、知ってる?」との質問が。
「定期預金でもいいし、投資信託を選んで運用してもいい。老後に受け取れるってやつだよね」
「そうそう。上手く運用できれば老後に受け取れる額も増えるみたいだし。いろいろ調べて、今、投資信託で運用してるんだ」
「そうなんだ。ちゃんと調べたんだね!」
「まあ、将来、年金もあてにならなそうだしね。調べてたらiDeCoやNISAは運用益が非課税だったり、iDeCoはさらに掛金が所得控除できて税金が軽減できたり、いろいろお得な制度なんだって分かったから、少しずつだけど始めたんだ」
「すごいじゃん! 少額でもいいのよ、長く続けることが大切だから」
まだまだ子どもだと思っていたけど、いつの間にかちゃんと将来のことも考えられる大人に成長していました。