島忠のシナジーに遅れ グループトップが立て直しを指揮
ニトリホールディングスを巡っては、25年5月に創業者の似鳥昭雄(にとり・あきお)会長が島忠の代表権を持つ会長に就任したことも話題です。島忠はホームセンター「ホームズ」などを運営する企業で、ニトリホールディングスが21年に完全子会社化しました。
島忠は当初、ホームセンター同業のDCMホールディングスから1株4200円で買収されることに合意していましたが、ニトリホールディングスが1株5500円で対抗しました。買収総額は最大2100億円に上り、ニトリホールディングスにとって初めての大型M&Aとみられています。
似鳥会長の島忠トップへの就任は、事業の立て直しが目的とみられています。実は島忠は苦戦しており、連結後は黒字を確保したものの、足元は2期連続の赤字です(国際会計基準後)。想定より売り上げが伸びず、人件費や広告宣伝費の増加をカバーできない状況となっています。買収時に生じた「のれん(※)」約256億円も、定期償却と減損でゼロになりました。
※のれん…被買収企業の純資産と買収額の差。純資産より高く買収したとき、のれんは買収企業の資産として計上される
島忠の苦戦は、シナジーの発現が遅れていることにあります。島忠は買収後、既存店舗を「ニトリホームズ」へ改装し、ニトリと島忠の双方の商品を扱う戦略を採ります。しかし期待したほど客足が伸びず、「ニトリホームズ」は現在も1店舗にとどまります。23年12月には、従来の「ホームズ」を新規出店しました。新規出店はこれのみで、連結後に61店舗あった店舗は53店舗まで減少しています。
島忠は似鳥会長の指揮の下、収益の改善を目指します。アプリ会員を増加させ集客の強化を図るほか、家具配送をニトリと統合し物流費を削減します。また、島忠におけるプライベートブランド比率を上昇させ、粗利益率の改善を図る方針です。一代でニトリホールディングスを築いた似鳥会長の手腕が注目されます。
