徹底した自前主義 製造に加え物流とITもグループ完結

ニトリホールディングスの強みは、同業で比較的高い利益率です。25年3月期の営業利益率は12.7%と、プライム上場の小売業134社の平均5.1%(24年4月期~25年3月期)を大幅に上回ります。

高い利益率は製造小売業(SPA)の特徴です。通常、小売業や卸売業といった流通業は生産の機能を持たず、既製品(ナショナルブランド)を仕入れて販売します。対して製造小売業は、自ら生産した自社製品(プライベートブランド)が主な商材です。在庫リスクを負う分、既製品よりも粗利率が高い傾向にあります。

製造小売業は、自社製品は企画のみで、製造は外部に委託することもあります。しかしニトリホールディングスの場合、商品の多くを自ら製造します。製造はベトナムやタイといったアジアで行い、主に国内で輸入販売します。

さらに、ニトリホールディングスは製造小売業を発展させた「製造物流IT小売業」という独自のビジネスモデルを展開します。製造にとどまらず、物流やシステム開発も自社でまかなう戦略です。物流子会社としてホームロジスティクスを、IT子会社としてニトリデジタルベースを持ち、製造から販売までのプロセスをグループ内で完結することで中間コストを抑えることに成功しています。

販売に直接かかわらない部門を多く抱える戦略は、コストをカバーできるだけの売り上げが必要です。製造物流IT小売業は、家具で国内トップクラスの売り上げを持つニトリホールディングスだからこそ実践できる戦略といえるでしょう。