各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、常陽銀行のデータをもとに解説。

常陽銀行の投信売れ筋ランキング(販売件数)の2025年7月のトップ2は前月と同じ「日経225ノーロードオープン」と「のむラップ・ファンド(普通型)」だった。第3位に前月第4位の「インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)」が上がり、第5位には「グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)」、第7位には「eMAXIS 先進国株式インデックス(除く日本)」が上がるなど米国をはじめとした先進国株式ファンドのランクアップが目立った。また、トップ10圏外から「Oneピュア・インド株式ファンド」が第10位にランクインした。

 

「日経225」と「のむラップ・ファンド」のパフォーマンス

常陽銀行の売れ筋トップ10を独走している「日経225ノーロードオープン」は、投資信託による資産形成手段の1つとして非常にわかりやすいファンドとして人気が高いと考えられる。「日経225(日経平均株価)」は毎日のテレビニュースなどでも「今日の株価は」としてたびたび取り上げられるため、なじみがある。また、日本に暮らしていれば、日本の景気の良しあしは生活実感としてわかりやすく、基本的に景気が良い時には「日経225」は上がりやすく、景気が良くないときや良くない見通しが強まるような時には「日経225」は下がってしまうという関係だ。

新NISAがスタートした2024年1月から、「日経225」は2024年8月と2025年4月の2回の急落を経験している。そのため、2023年12月末を起点とすると、基準価額は20%高の水準にまで値上がりするたびに下落することを繰り返してきた。2025年8月になって日経平均株価が過去最高値を更新したことで同ファンドの2024年1月以来の上昇率も30%を超えてきた。同ファンドを保有し続けた投資家にとってはようやく辛抱が報いられた思いだろう。一段と上値に進むものか注目される。

一方、「のむラップ・ファンド(積極型)」は株式と債券、世界REITに分散投資するファンドながら、2024年1月以来のパフォーマンスでは、株式100%に投資する「日経225ノーロードオープン」と変わらないパフォーマンスを残している。もっとも、2025年7月末時点の資産配分比率は、「国内株式」10.8%、「外国株式」54.9%、「世界REIT」13.7%で、リスク資産が80%を超え、しかも、「外国債券」15.1%も含めて為替リスクを取った資産が80%を超えている。その点では、決してリスクの水準は低くないファンドといえる。2025年8月になって「日経225ノーロードオープン」が上昇力を強めているが、2024年前半の株高局面では同年8月の株価急落で「のむラップ・ファンド(積極型)」は「日経225ノーロードオープン」の成績に追いついた。今回は、数カ月の間に基準価額の水準が並ぶことになるのか注目したい。