中国銀行の投信売れ筋ランキング(窓口販売)の2025年3月のトップ2は前月と同様でトップに「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」、第2位に「ROBOPROファンド」だった。第3位に前月第5位の「ちゅうぎん日経225インデックスファンド」が浮上し、前月第3位の「One/フィデリティ・ブルーチップ・グロース株式ファンド(隔月決算・予想分配金提示型)」は第4位に、前月第4位の「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Eコース隔月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」は第5位にそれぞれ後退した。第10位に前月のトップ10圏外から「次世代米国代表株ファンド」がランクインした。
(出所)公表データに基づき編集部作成
◆「日経225インデックスファンド」がランクアップの理由は?
中国銀行の売れ筋上位には米国株式を主たる投資対象としたアクティブファンドが多い。「One/フィデリティ・ブルーチップ・グロース株式ファンド(隔月決算・予想分配金提示型)」、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Eコース隔月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」、「アライアンス・バーンスタイン・米国割安株投信(隔月決算・予想分配金提示型)」、「One/フィデリティ・ブルーチップ・グロース株式ファンド(成長型)」、そして、「次世代米国代表株ファンド」も加わって、トップ10のうち6銘柄が米国株式を中心にしたファンドだ。その米国が、トランプ大統領が推進する大規模な関税策によって揺れている。
米国の株式市場は、「S&P500」が2月19日の史上最高値から4月8日にはマイナス18.90%という水準にまで下げた。関税策によって米国のインフレが進むとともに、深刻な景気後退に陥るのではないかという懸念が強まっている。中長期の資産形成を目的に投資をしているとはいえ、1カ月余りで代表的な株価指数が20%前後も下落するような事態になると、さすがに一時的にでも米国株式、あるいは、株式投資から避難したいという気持ちに傾いてしまうのではないのだろうか。
その心理的な米国株式市場への警戒感が資金を向かわせていると考えられるのが、米国への投資比率が50%に届かないグローバル株式ファンドの「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」やグローバルな資産分散を行うバランスファンドの「ROBOPROファンド」であり、大きく順位を上げた「ちゅうぎん日経225インデックスファンド」なのだろう。「ROBOPROファンド」は4月10日時点で米国株の組み入れ比率が20.1%だったところ、4月14日に30.1%に引き上げるというリバランスを行っている。「ちゅうぎん日経225インデックスファンド」は当然ながら米国株式への投資比率はゼロだ。
ただ、今回の混乱が米国の関税策を巡るものであるだけに、日本もその他の国々もその影響を受けることになる。実際に日本の株式市場も欧州も中国も株価が不安定な状態が続いている。世界の市場がどこに落ち着きどころを見いだすのか、気迷いが募る状況になっている。