三井住友銀行の投信売れ筋ランキングの2025年3月のトップは前月の第2位から浮上して「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」になった。前月トップだった「三井住友・225オープン」は第2位に後退。第3位以下は、「三井住友・NYダウ・ジョーンズ指数オープン(為替ヘッジなし)」、「SMBC・DCインデックスファンド(S&P500)」、「SMBC円資産ファンド」、「三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド」の順で前月と変わらなかった。第7位にトップ10圏外から「GSグローバル・パーシャルヘッジ社債ファンド」がジャンプアップし、前月は第10位だった「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」が第8位に上がった。

 

◆「世界のベスト」が売れ筋トップに返り咲き

三井住友銀行の売れ筋ランキングを振り返ると「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」がトップに立つのは、2024年6月、12月、そして、今回(2025年3月)ということになる。過去1年、それ以外のトップは「三井住友・225オープン」が独占し続けていた。

銀行預金で蓄財してきた預金者に、投資信託のような価格変動商品を提案するにあたって、まずは、わかりやすい国内株式を資産の一部に加えてもらうことが順当な第一歩として位置づけられているようにみえる。その一番わかりやすい投資対象が、テレビのニュースなどでも取り上げられやすい「日経平均株価(日経225)」に連動するインデックスファンドになるのだろう。一般的な売れ筋は「S&P500」や「全世界株式(オール・カントリー)」に連動するインデックスファンドだが、これらには為替変動の影響を受けるというデメリットがあり、「日経225」よりも一段とハードルが高い商品に位置付けられる。そのため、投資の第一歩として「三井住友・225オープン」が選ばれていたことがうかがえる。

このように考えると、「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」は、海外株式に投資するファンドで為替変動のリスクがあり、かつ、アクティブファンドであるため運用者の運用能力もわかりにくい。「S&P500」インデックスファンドよりも、さらに理解して投資するハードルが高いファンドということになるはずだ。それでも「三井住友・225オープン」とともに、三井住友銀行の売れ筋のトップグループとなり、たびたびトップの販売実績を残してきている。

これは、「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」が日本国内において1999年1月7日に設定され、これまで25年以上の運用実績があること。そして、設定来の運用成績が2025年3月末時点で「MSCIワールド・インデックス」の311.60%に対して、同ファンドでは366.44%(為替ヘッジなし、信託報酬控除後、分配金再投資)と高いリターンを残している実績があることなどが、評価された結果だろう。特に、過去3年間では「MSCIワールド・インデックス」が46.51%のところ、同ファンドは67.37%と際立って優れた成績を残している。

2025年3月は、米国トランプ政権が極端な関税政策を打ち出したため、世界の株式市場が不安定な動きになった。特に震源地となった米国市場は、「S&P500」が3月月間で5.7%下落した。そして、4月になると4月2日と3日の2日間で10%以上も株価が下落するような荒れた市場になっている。「S&P500」は2月19日に6144.15ポイントの史上最高値を付けたが、4月8日には4982.77ポイントと2カ月足らずの間に18.90%も下落してしまった。4月9日には関税策を90日間にわたって一時停止するという発表を受けて急反発して5400ポイント台に戻ったものの、関税策の先行きが不透明なだけに神経質な値動きが続いている。

このような不安定な市場にこそ、しっかりとした銘柄選択眼を持ったアクティブファンドマネジャーが頼りになる。引き続き「世界のベスト」が売れ筋の上位に座り続けるのか注目していきたい。