意外と知られていない「経過的加算額」の仕組み
ただし、20歳前や60歳以降に第2号被保険者になると、厚生年金加入月の合計が480月になるまで、1月加入につき経過的加算額が年額1701円(2024年度)増えます。老齢厚生年金の内訳として「ねんきん定期便」では「経過的加算部分」、年金事務所での試算表では「差額加算」と表示されている部分ですが、これは老齢基礎年金に相当する部分となります。
浩明さんの場合、22歳の就職の時に厚生年金に加入し、40年経つ62歳の時にその期間が合計480月になりますが、60歳以降その合計480月になるまでは報酬比例部分と経過的加算額が増えることになり、この間は実質2階建てで年金が増えることになります。浩明さんの老齢基礎年金と経過的加算額の合計は年間81万6480円となっていました。つまり、厚生年金として40年加入して両者の額を合わせると、老齢基礎年金の満額(年間81万6000円)に近い数字となります。
一方、麻子さんについては、18歳で高校を卒業してから20歳前に会社員の期間があるまで第2号被保険者期間があるため、この期間で計算された経過的加算額があり、さらに81万6000円の満額の老齢基礎年金が受けられることになります。
計算根拠を知り増え方も確認
63歳時点で浩明さんは既に40年以上厚生年金に加入しているため、経過的加算額はこれ以上増えず、報酬比例部分のみ増えることになります。
こうして浩明さんも麻子さんも、今後、引き続き厚生年金に加入するとどれくらい年金が増えるかについて知ることができ、年金への理解が進みました。「ねんきん定期便」には記載されていませんでしたが、浩明さんの老齢厚生年金には加給年金、麻子さんの老齢基礎年金には振替加算があることについて説明がされました。
年金はどれくらい加入してどれくらい増えるか気になるところです。その根拠を確認できれば将来の年金収入の見通しを立てやすくなるでしょう。
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