<前編のあらすじ>

一人暮らしの圭司さん(仮名、64歳)は、65歳からの年金受給方法について悩んでいます。すでに64歳から特別支給の老齢厚生年金を受給中ですが、65歳からは老齢基礎年金と老齢厚生年金に切り替わります。この65歳からの年金を繰下げ受給すれば、1カ月あたり0.7%の増額が可能で、70歳なら42%増、75歳なら84%増となります。

しかし、繰下げ受給に魅力を感じつつも、長生きできるかわからないとも思っています。65歳が迫る中、「今後の生活を左右する重要な決断だ」と焦る気持ちが募り、年金事務所へ相談に行くことにしました。そこで意外な事実が判明します。

●前編:年金繰下げによる増額は魅力的だが、果たして長生きできるのか…65歳目前にして男性が見つけた“目から鱗”の選択肢

繰下げ受給制度について

65歳からの老齢基礎年金、老齢厚生年金は65歳で受給することも繰下げ受給することもできます。繰下げ受給する場合は、受給開始を遅らせる代わりに、年金を増額させることができます。1カ月繰下げをするごとに年金を0.7%増額できるとされ、66歳から75歳までで1カ月単位で繰下げが可能です。66歳0カ月なら8.4%(0.7%×12月)増額、70歳0カ月なら42%(0.7%×60月)増額される計算となり、75歳まで繰下げをすると84%(0.7%×120月)まで増額させることができます。

老齢基礎年金と老齢厚生年金はそれぞれについて受給開始時期を選べるので、それぞれ異なる時期に繰下げをしても、繰下げをするのを片方だけにして、もう片方は65歳開始で受給することも可能です。