――昨今、資産形成層の間ではインデックスファンドが主力の座を占めつつあります。今、新機軸のアクティブファンドを出された意味や、いわゆる“ふつうの資産形成層”がこうしたファンドに投資をする意味はどこにあると考えますか。

藤野氏 そもそもアクティブ運用かインデックス運用かという二項対立で語れるものではない、と捉えています。

インデックス運用を否定するつもりは毛頭ありません。分かりやすく、ローコストで運用できるファンドは、なかでも新NISAを機に資産運用に取り組んでみようと考えている人たちには、合理的な投資機会を提供していると思います。

ただ、一方で世の中がすべてインデックス運用に向いてしまうと、誰も企業を選定することがなくなってしまい、資本市場における企業と投資家の間にある緊張関係が損なわれてしまう恐れがあります。やはり経営者と投資家が緊張感のあるコミュニケーションを取り、叱咤激励を繰り返すなかで企業は伸びていきます。そこにこそアクティブ運用の存在意義があると考えています。

運用資産の総額が日本に比べてケタ違いに大きい米国の場合、特にプロの機関投資家は高度な運用戦略・手法の知見も豊富で、プライベートエクイティなどオルタナティブのファンドが長期的に高い運用実績を上げています。これらはまさにアクティブ運用なのですが、日本においてはこれまで、公募でこうしたファンドが存在していませんでした。

「ひふみクロスオーバーpro」は、上場企業のみを投資対象とするアクティブ運用でもなければ、ましてやインデックス運用でもないという意味において、第3の軸を提示しています。運用者が足で情報を集め、公開情報が極めて少ない未上場企業を厳選して投資する、「誰もまだ見つけていない、(未上場なので)買えない、“スゴい企業”を見つけて投資する」という点で、投資の醍醐味を見せることのできる、ピュア・アクティブ運用と言っても良いでしょう。いうなれば、まだ見ぬスター候補たちの成長を応援できる“推し活”投資です。

松本氏 日本を良くする力がアクティブ運用にはあると信じています。これは上場企業、未上場企業に関係なく、私たちが受益者の皆さんからお預かりした資金を投じるかどうかで、企業の運命を左右してしまうことも十分に考えられます。一人ひとりだと実感しにくいかもしれませんが、それが集まると企業、日本社会を変える力があるのです。みなさんが働いて得たお金がそうやって世の中を良くすることに投資されるんだと感じてもらえることが、アクティブ運用に投資していただく意味だと感じます。

だからこそ私たちは、皆さんからお預かりしたお金が、投資先企業を少しでも良くすることにつながるように、投資先企業に対してアドバイスもしますし、私たち自身も強い責任感を持って、日々の運用に当たっています。

私たちは「顔の見える運用」を信条としていますし、そこをぜひ見ていただけたらと思います。