景気見通しが楽観的な業種 「不動産」を抑えた1位は?

企業と一口に言っても千差万別。規模や業種によって景気見通しも異なるだろう。調査によれば、来年の景気が「回復局面」の回答率では、大企業が中小企業より高く、「踊り場局面」も同様だった。逆に「悪化局面」では、大企業が中小企業より低く、総じて大企業のほうが景気見通しは楽観的なようだ。

業界別ではどうだろうか。「回復局面」の回答率が高いのは、「金融」(10.1%)、「不動産」(9.5%)、「サービス」(8.8%)の順だった。やはり株価や金利、不動産価格の上昇が背景にあるのかもしれない。

逆に「悪化局面」については、「小売」(31.7%)、「農・林・水産」(25.7%)、「建設」(25.2%)の順に回答率が高い。いずれも個人消費の低迷や人手不足などの影響を受けやすい業種だ。

出所:帝国データバンク 「2025年の景気見通しに対する企業の意識調査」

「原油高騰」や「円安」は沈静化を期待も新たな懸念材料が

物価高騰に泣かされた2024年。2025年はどんな懸念材料が予想されるのだろうか。調査によれば、回答率が高いのは「原油・素材価格(の上昇)」で46.2%。「人手不足」が41.6%、「物価上昇(インフレ)」が31.5%と続く。現在も中東情勢は緊迫しており、昨年ほどではないにしても原油価格などの動向に敏感になっている企業は多いようだ。

前回から大きく変化したところでは、「為替(円安)」が37.4%から30.7%にダウンし、「金利(の上昇)」が17.8%から24.1%に上昇。日銀が追加利上げに踏み切ることで、いよいよ「金利のある世界」の本格的な到来が予想される。「金利のある世界」となり円安は是正されるのだろうか。気になる企業も少なくないようだ。

また、円安などに起因する物価高騰に目が向きがちだが、金融緩和をやめてしまうことで、経済成長に水を差すと懸念する向きもあるだろう。

さらに米国の大統領選挙ではトランプ氏が返り咲いたこともあってか、注目を集めているのか、懸念材料として「米国経済」を挙げる企業が5.9%から17.1%に上昇した。

おりしも米国では根強い物価高騰が続いており予断を許さない状況だ。他方で米国議会は共和党が上下両院で過半数を制しており、トランプ氏が掲げる経済政策の矢継ぎ早な実行に期待する声もある。

出所:帝国データバンク 「2025年の景気見通しに対する企業の意識調査」