・資産形成のサポート
公的年金だけに頼らず、自ら資産を形成することが求められる時代において、企業が提供する以下のような資産形成支援制度は非常に魅力的だ。企業に資産形成におけるアドバイザーの窓口があればなお良い。
1. 企業型確定拠出年金(DC制度)
企業型DC制度は、従業員が自分で運用方法を選び、積み立てた資金を将来のために準備する仕組みだ。この制度では、企業が一定額を拠出するため、従業員にとって負担が軽減される上に、自分の判断で資産を運用できる自由度がある。
2. 財形貯蓄制度
給与天引きで効率よく貯蓄を行える財形貯蓄制度は、税制優遇が受けられる点で魅力的だ。特に、住宅取得や老後資金の準備を目的とした財形住宅貯蓄や財形年金貯蓄は、長期的な資産形成をサポートする。
3. 従業員持株会
従業員持株会を活用すれば、企業の成長とともに資産を増やすことができる。従業員が自社株購入をする際、企業から奨励金が出ることが多く、資産形成の一環として利用しやすい。この制度は、会社の業績が良いほど恩恵を受けられる仕組みであり、従業員と企業双方にメリットがある。
4. 保険関連の福利厚生
団体保険や生命保険の加入支援も、将来のリスクを軽減する重要な手段だ。個人で加入するよりも保険料が安く抑えられる場合が多く、従業員にとって負担を減らしながら安心感を得られる仕組みとなる。
しかし、これらの制度は同一企業に長く在籍することで効力を大きく発揮する。したがって、私たちの世代にはあまり魅力的な選択肢とは言えないのかもしれない。中小企業であったり、大企業でも一部の業界では転職が当たり前とされることがある。そのような業界に就職する学生にとって上記の制度はあまり魅力的に映らないかもしれない。
福利厚生の方向性と若い世代のニーズ
私は、現役世代の企業への帰属意識が低下している一方で、若い世代の上昇志向が完全に消えたわけではないと考えている。むしろ、自分の価値観や目標に合わせて効率的に行動し、結果を出すことを重視する傾向がある。このため、従業員が個々にスキルアップや資産形成を行える環境を提供することが、企業にとっても競争力を高めるポイントとなる。
また、転職やキャリアの変化を見据えたスキルや資産の提供だけでなく、従業員が企業での経験を通じて自己成長を実感できるような仕組みを整えることが求められる。例えば、社内外で活用可能な資格の取得支援や、多様なキャリアパスを見据えた人材育成プログラムの提供などが含まれる。
就職する企業を選ぶ際、福利厚生制度は非常に重要な要素となる。現代の若い世代にとって、柔軟な働き方やキャリア形成をサポートする仕組みが特に魅力的である。さらに、公的年金の不安を補うための資産形成支援制度も注目すべきポイントだ。企業はこれらのニーズを的確に捉え、個人の成長と企業の発展が両立できるような環境を整えることで、優秀な人材を惹きつけることができるだろう。