2025年「年金制度」はどう変わる? ポイントだけ知りたい人へ
iDeCoは公的年金に上乗せする私的年金制度です。今、話題の年金制度に関する見直し案は、2024年末をめどにまとめられ、2025年に予定される年金法改正に向けて国会に提出される予定です。内容について特に押さえておきたいポイントは次の4つです。
①厚生年金の加入対象者の拡大
厚生年金の対象になるかどうかは労働時間と勤め先の規模によって決まります。この改正は段階的に実施されており、最新の改正では2024年10月から以下のようになっています。
(1) 従業員数(※)51人以上の会社で働いている
(2)週の勤務時間が20時間以上
(3)給与が月額8.8万円以上
(4)2カ月を超えて働く予定がある
(5)学生でない
※厚生年金保険の被保険者数
上記にあてはまる人があらたに厚生年金に加入することになりました。今後、この条件をさらに緩和し厚生年金への加入者を増やすことが提案されています。具体的には、(1)の企業規模、(2)の賃金要件は撤廃の方向で検討されています。
企業規模に関しては勤め先や働き方に中立的な制度であるべきとの理由から、賃金要件に関しては就業調整の基準として意識され、働き控えを招くいわゆる「壁」問題発生のゆえんとされているためです。
②基礎年金の給付水準の底上げ
基礎年金の給付水準の底上げとは、国民年金の基礎年金部分の受給額を引き上げること。具体的には今より3割ほどの引き上げが検討されています。
基礎年金のみで厚生年金がない自営業者(第1号被保険者)のほか非正規雇用の人などの老後生活の安定が目的とされますが、引き上げには財源の確保が必要です。財源には厚生年金の積立金を活用する案が提示されましたが、賛否があり、引き続き慎重に検討されていくと見られます。
基礎年金が引き上げられれば、基礎年金と厚生年金の両方を受け取れる会社員(第2号被保険者)などにも恩恵があります。とはいえ厚生年金の積立分を基礎年金に充てることにさまざまな意見もあるのが現状です。
実際に、この財源の移転の公平性・必要性について厚生年金の加入者にも納得性があるよう丁寧な説明が不可欠という声が議論を進める同省の年金部会の委員からも挙がっています。
ただ、基礎年金の算定基礎となる加入履歴のデータではずっと第1号被保険者期間のみという人は65歳の受給権者のうち3.0% (全受給権者では 8.1%)。また自営業から会社員へ、会社員から専業主婦(主夫)へというように制度間を移動する人もいます。
公的年金は高齢世代に給付される年金を現役世代の保険料でまかなう賦課(ふか)方式で運営されています。そのため積立方式のように個人の持ち分ではないという、賦課方式特有の積立金の性質についても同省では指摘しています。