多数の企業が「引き上げに賛成」と表明
では企業は、「103万円の壁」引き上げに対して、どういう考えなのだろうか。株式会社帝国データバンクが1691社を対象行ったアンケートを参考に見てみよう。結果は次のとおりとなった。
好意的に捉える企業が多く、「引き上げに賛成」と回答した企業は約7割(67.8%)にも上る。支持する理由にはやはり、“人手不足解消への期待”があるようだ。
例えばコメントには、「収入の壁や労働時間の壁はない方が有難い。実際に忙しいのに、優秀な女性が12月に勤務を控えたり、賞与を辞退したりするケースなどが起きている」(精密機械、医療機械・器具製造)といった声が上がっていた。
また、パートやアルバイトの比率が他業種に比べて高いと言われる飲食業においても、引き上げを歓迎する声が目立つ。
「103万円の壁を意識するパートの方が多く、引き上げれば働き控えが解消される」「年々、最低賃金が上がる現状で、働ける年間時間が減ってきている。飲食業は、ほぼ9割をパートやアルバイトで運営しており、働ける時間に制限がかかると売り上げに影響するため、103万円の引き上げは賛成」といった声が寄せられていた。
なお同アンケートでは、約2割(21.9%)の企業が「撤廃すべき」を選択。「賛成」と合わせると89.7%となり、約9割が「103万円の壁の見直しを望んでいる」という結果となった。