「東京スカイツリー」手掛けた大手ゼネコン 受注繰越高は2.3兆円規模に増加
まずは概要を押さえておきましょう。
大林組は大手ゼネコンの一角です。建設会社の中でも、建物の建築から土木まで幅広く手掛ける業態をゼネコンと呼びます。代表的な建築物には「東京スカイツリー(東京都墨田区)」や「虎ノ門ヒルズビジネスタワー(東京都港区)」、「エスコンフィールドHOKKAIDO(北海道北広島市)」などがあります。
大林組の事業は大きく3つに分かれます。建設事業と不動産事業、その他の事業です。収益の多くは建設事業が占めています。
【大林組のセグメント業績(2024年3月期)】
建設事業は主に国内外での建築工事と土木工事の受注と施工です。国内は内装工事や設備工事、および建設用の資機材の販売なども含まれます。海外は北米や東南アジアなどで事業を展開しています。なお利益は国内が中心です。
【建設事業の営業損益の内訳(2024年3月期)】
・国内建築:242億円
・国内土木:264億円
・海外建築:129億円
・海外土木:-38億円
出所:大林組 決算短信
建設事業の受注は好調です。受注高および繰越高はおおむね右肩上がりに増加しています。特に繰越高は2.3兆円台まで拡大しています。建設事業の収益は、一部を除き工事の進捗度に基づいて段階的に認識しています。受注の積み上がりから、当面は売り上げの増勢が続きそうです。
不動産事業は、不動産の売買や賃貸を行っています。また宅地開発といった開発事業も手掛けています。
その他の事業はPFI事業(※)や再生可能エネルギー事業、情報通信事業、金融事業などです。金融事業はグループ会社の資金調達事業も含まれます。
※PFI(Private Finance Initiative):公共施設の管理手法の1つ。建設から運営まで民間企業が担う民設民営方式を指す。