利益急増で自己資本比率27%→57%へ改善 市況回復&円安で純利益予想を1200億円上方修正

次に商船三井の業績を押さえましょう。

商船三井は2022年3月期に大きく成長しました。純利益は前期の900億円から7000億円へ急拡大し、翌2023年3月期も7900億円となっています。

利益の積み上げから財務の改善も進みました。自己資本比率は2021年3月期の27%から2024年3月期の57%へと上昇しています。

好調の背景にはコロナ禍があります。世界的に物流がひっ迫したことから、荷量の増加と運賃の上昇が起こり、商船三井の業績を強く押し上げました。

なお、直近の2024年3月期は大幅な減益となっています。減益は主にコンテナ船の市況低迷が原因でした。新造船の供給が増えたこと、欧州などで消費回復が遅れたことが市況の低迷を誘ったようです。

出所:商船三井 有価証券報告書より著者作成 

コンテナ船の市況は底打ちの兆しがあります。新造船の竣工は落ち着く見込みであり、またコロナ禍で停滞していた解撤(スクラップ)は加速すると予想されています。コンテナ運賃指数は2023年12月から2024年7月まで上昇基調が続きました。

出所:日本郵船 IRファクトブックより著者作成

市況の回復は商船三井の追い風となっています。今期(2025年3月期)の第1四半期は前年同四半期比で大幅な増収増益となりました。想定より市況改善と円安が進んだことから、中間および通期の利益予想を上方修正しています。上方修正は経常利益と純利益で大きく、通期予想はいずれも期首時点から1200億円増加しました。通期の予想配当金も180円から280円へ引き上げています。

【商船三井の業績(2025年3月期 第1四半期)】
・売上高:4359億円(+13.2%)
・営業利益:406億円(+66.2%)
・経常利益:1086億円(+20.2%)
・純利益:1071億円(+17.5%)

※()は前年同四半期比

【商船三井の業績予想(2025年3月期)】
・売上高:1兆8150億円(+11.5%)
・営業利益:1560億円(+51.3%)
・経常利益:3500億円(+35.1%)
・純利益:3350億円(+28.0%)

※()は前期比
※同第1四半期時点における同社の予想
※上方修正の概要(期首予想比):売上高+150億円、営業利益+40億円、経常利益+1200億円、純利益+1200億円

出所:商船三井 決算短信

ただし商船三井は、コンテナ船運賃は2024年7月をピークに年度末に向けて期首想定の水準にまで徐々に下がっていくと想定しています。事実、コンテナ海運指数も2024年7月からは下落傾向が見られます。市況の動向によっては、第3四半期以降は減速する可能性もあるでしょう。

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