◆景気後退局面でアクティブファンドが買われる理由

外国株式ファンドは半導体関連株式やインド株式などを主たる投資対象とするファンドが順位を落とす中、「キャピタル世界株式ファンド」、「インベスコ世界株式厳選オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)(愛称:世界のベスト)」、「フィデリティ・世界割安成長株投信(愛称:テンバガー・ハンター)Bコース(為替ヘッジなし)」など、運用会社で「フラッグシップ(旗艦)」と言われるクラスの代表的なアクティブファンドがジワリと浮上している。もちろん、ランキングトップの「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」もフラッグシップのアクティブファンドだ。

これらフラッグシップは、長期にわたる運用実績があることがポイントだ。現在、米国の政策金利が引き下げに転じる転換点を迎え、市場の環境が大きく動くと懸念されている。今回の政策金利引き下げは、インフレ(物価上昇)退治のために適正な水準を超えて大幅に引き上げていた金利を正常な状態に戻そうという動きだ。現在、米国の政策金利は短期金利の指標となるFFレートで年5.25%~5.50%という水準になっている。これを適正とされる2~3%の水準に下げていこうとするのが今回の利下げだ。FRBが利下げを決断するのは、これまで強かった米景気に減速感が出てきたためだ。5%を超える政策金利を維持することで、景気を引き締め過ぎて後退に陥ることがないように、徐々にブレーキを緩める調整を行うことになるだろう。

景気が全般に減速する過程では、企業の持つ実力が企業業績で浮き彫りにされることになる。競争力のある商品・サービスを持ち、景気変動にかかわらず成長を持続させる経営力のある企業の業績は成長を続けるだろうが、成長トレンドにたまたま乗っていたような企業は景気減速によって業績が失速する。経済全体の好調に乗るインデックスファンドより、企業を選別する目を持つアクティブファンドに活躍期待が高まるのは、このような景気減速局面を迎えた時ということになる。

◆中でもフラッグシップファンドが人気なのはなぜ?

個々のファンドマネジャーが、本当に優れた企業を見分ける目を持っているかどうかは、なかなか判断が難しい。実際には、そのファンドマネジャーが運用しているファンドの運用実績を調べて、インデックスや同様の運用戦略を持っているファンドと比較して良い運用成績を残しているのかを調べる必要がある。その点、運用会社の掲げるフラッグシップは、その会社が社運をかけて最高のスタッフをそろえて運用しているファンドであり、かつ、長期にわたって優れた運用成績を残してきたという実績も十分にあるファンドだ。「迷ったときに最も頼りになるファンド」といえる。米国景気が減速してきたタイミングでジワリと浮上してきたフラッグシップファンドが、今後も人気を高めるかどうか注目したい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩