今期も大幅な増益を計画 最高益の達成は運用がカギ
次に足元の業績を紹介します。
山口FGは直近の2024年3月期を増収増益で終えました。増収の大部分は資金運用収益がけん引しており、貸出金および有価証券の利息・配当金の改善が確認できました。銀行本来の業務による利益が伸びたこと、さらに与信費用が減少したことを主因に、経常利益と純利益はいずれも4割を超える大幅な増益となっています。
【山口FGの業績(連結、2024年3月期)】
・経常収益:1847億円(+17.4%)
・経常利益:372億円(+45.1%)
・純利益:252億円(+40.9%)
※()は前期比
※参考(連結):コア業務粗利益1136億円(+12.8%)、コア業務純益501億円(+27.2%)
有価証券の運用は好調でした。純投資部門の実現損益は150億円(前期42億円)に増加、その他有価証券の評価損益も300億円(同-129億円)に改善しています。期末時点の時価残高は3行合算で前期比5300億円増加の2兆500億円に達しました。
今期(2025年3月期)は、有価証券の運用が特に重要な年となりそうです。経常利益の増益の多くを有価証券運用収益が担う計画のためです。貸出収益および役務関連収益は伸び悩む予想となっています。
【予想経常利益の増減要因(連結、2025年3月期)】
・邦貨貸出収益:+14億円
・外貨貸出収益:-20億円
・役務関連収益:-8億円
・有価証券運用収益:+127億円
・経費:-41億円
・与信費用:+49億円
・その他:-17億円
※予想経常利益:475億円(前期:372億円)
山口FGは中期経営計画の推進中で、今期はその最終年度にあたります。中計で目指した経常利益と純利益の目標は今期の予想と一致しています。先述の通り、計画達成なら純利益は過去最高となる見込みです。最高益の達成は、有価証券の運用にかかっているといえるでしょう。
【山口FGの業績予想(連結、2025年3月期)】
・経常収益:非開示
・経常利益:475億円(+27.4%)
・純利益:330億円(+30.9%)
※()は前期比
※参考(連結):コア業務粗利益1095億円(-3.6%)、コア業務純益419億円(-16.1%)
第1四半期の決算は2024年8月に公表されました。経常利益と純利益はそれぞれ160億円と115億円となっています。計画に対する進捗はともに26%と、足元ではおおむね順調に推移しているようです。
山口FGは、計画通り過去最高益を更新できるのでしょうか。市場の関心が集まります。