iDeCoと企業型DCで月10万円掛けられるようになる?

iDeCoを含む確定拠出年金についてはより便利に利用でき、より豊かな資産形成に資する制度となるよう改革が望まれています。今年7月25日に日本証券業協会、投資信託協会、全国証券取引所協議会から共同で「確定拠出年金制度(企業型DC、iDeCo)の改革についての提言」が出されました。提言のうちiDeCoに関わる主なポイントは以下の3つです。

①「拠出限度額の引上げ」と「キャッチアップ拠出」の創設
②「生涯拠出枠」の創設と毎月・毎年の拠出額の柔軟化
③「指定運用方法」の見直し

①の拠出限度額の引き上げとキャッチアップ拠出とは掛金の拠出枠の見直しです。提言によれば、早急に措置すべき事項として優先度が高いとされています。

現状、iDeCoの掛金上限は企業年金(企業型確定拠出年金(企業型DC)、確定給付年金(DB))などがない人は月額2万3000円、ある人は月額1万2000円~2万円と差があります。公平性を確保するため、ある人の場合、全体の掛金上限額から事業主掛金(企業型DC・DB)を差し引いた金額をiDeCoでかけられる金額としてはどうかという内容です(穴埋め型、下図参照)。

出所:日本証券業協会「確定拠出年金制度(企業型DC、iDeCo)の改革についての提言」

さらに掛金上限額をiDeCoと企業型確定拠出年金(企業型DC)の合計で月額10万円(年間120万円)に引き上げてはどうかということも挙げられています。老後に必要な資産を確保することと、拠出限度額を分かりやすくすることが狙いです。

キャッチアップ拠出とは、50歳以上の人の掛金上限額を月15万円 (年間180万円)に引き上げるという提案。若い時ほど掛金額が少額である傾向と、団塊ジュニア世代などの就労状況の悪化によって掛金額が少額な加入者に向けて、退職後の資金形成が不十分とならないよう設けてはどうかという考えです。

出所:日本証券業協会「確定拠出年金制度(企業型DC、iDeCo)の改革についての提言」