今回は日経平均株価の4万円回復のメカニズムについてお話しします。このメカニズムは、これまで話してきた金融政策やファンダメンタルデータ、業績などではなく、相場自身が持つ力学のようなものです。具体的には、オプションマーケットで取引されている価格から逆算したボラティリティや、マーケット自身が持つ価格変動のメカニズムに基づいています。
まず、3月22日の高値40,880円からマーケットが下落し、その後回復する動きを見てみましょう。この間、マーケットで取引されているオプション価格のボラティリティは上昇しました。これは予想が外れ、元の状態に戻るのではないかという懸念が広がったためです。しかし、その後ボラティリティは下がり始め、それに伴って株価が上昇しました。
この動きは極めて普通のものです。つまり、下落したから上昇したという単純な動きなのです。40,000円に達したことを大騒ぎする必要はありません。大きな変化や金融政策の変更などがあったわけではありません。
3月22日までの株価上昇と今回の40,000円回復は全く意味が異なります。その違いを説明しましょう。年初から3月までの株価上昇時、マーケットは33,000円から40,000円方向へ上昇しました。この間、ボラティリティも上昇しました。これは大きな変化を示しています。
このような動きは、「想定外の上昇だ」「世の中が変わった」「今までと全然違うことが起きている」といった心理を反映しています。これが本当の意味でのレジームチェンジです。しかし、現在の動きはそれとは異なり、普通の動きです。
したがって、現在は慌てて市場に飛び込む必要はありません。トランプ氏が勝ちそうだと思えばトランプラリーに少し乗ってみる、金利が上がりそうなら銀行株を増やすなど、日々の経済指標や四半期ごとの決算を見て物色すればよいでしょう。
昨年の4月から6月にかけても同様の現象がありました。30,000円に乗っていく時期で、20,000円台に戻ることはありませんでした。これはデフレ時代の終わりをマーケットが感じた瞬間でした。株価が上昇する中、ボラティリティも上昇し、この時も市場に飛び込む必要がありました。
今年1月の33,000円から40,000円への上昇、そして37,000円への下落、再び40,000円への回復は、これらの大きな変化の時期とは異なります。多少待っても問題ありません。ゆっくりと循環的に動くでしょう。変化が激しすぎれば売られるでしょうし、アメリカの経済統計や業績が悪ければ下がるでしょう。そういったタイミングを拾っていけばよいのです。